週刊ダイヤモンド 「カーン!」

 「さあ、ゴングが鳴って始まりました『金融異種格闘技バトル』。リング上には赤いパンツの巨体、三菱UFJフィナンシャル・グループ選手、緑のパンツで攻撃的な三井住友フィナンシャルグループ選手、そしてなんだかすでに疲れている青いパンツのみずほフィナンシャルグループ選手が互いを牽制しております」

 「早々にみずほ選手は息切れしていますね~」

 「おーっと、ここで急に日興グループという選手が、シティグループという米国人サポータ―からリングに上がれと命じられました。味方に引き入れようと三井住友選手と三菱UFJ選手が取っ組み合いを始めています」

 「あー、この勝負、どうやら三井住友が力技で日興選手を味方にしたようですね」。

 「と思ったら、リングの角に、大和証券という名の選手が隠れていました。目ざとく見つけた三井住友選手、大和選手を睨みつけています。まさに神経戦の様相を呈してるようで、互いに一歩も引きません」

 「あれ、気づいたらロープ上でこの戦いを見下ろしている選手がいますね~。野村ホールディングス選手のようです。リングに引きずり下ろそうと、各選手が飛びかかっていきました」

 「さー、大混戦になって来ました。この勝負の行方、どうやら体力勝負になりそうです。いかに味方を増やして攻めていくかにかかっていそうです」

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 いわゆるサブプライムローン問題で苦境に陥った米シティグループが、傘下の日興グループを売却、三井住友が手中に収めたことがきっかけとなり、日本の金融業界は大手銀行、大手証券入り乱れての大バトルが始まりました。

 まさに異種格闘技戦。大まかなストーリーは、上記した通りですが、規模拡大を目指して猛攻勢をかける三井住友を柱に、いくつもの戦いが繰り広げられています。今回の特集では最前線の動きを追いました。

 一方、地方銀行、そして中小証券会社はまさに青息吐息。金融危機やそれに伴う経済環境の悪化の影響を受けたことはもちろんですが、本業不振が輪をかけて、存亡の危機を迎えています。

 また消費者金融やリースを始めとするノンバンクも状況は同じ。一向に過払い金返還請求が治まらずこのままいくと……。本誌では今回、消費者金融各社が、「過払い金返還にあと何年くらい耐えられるか」を試算してみました。

 異種格闘技戦の決着はいかに。本誌を手にとっていただき、皆さんが取り引きしている銀行や証券会社、ノンバンクの行く末を考えてみてください。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 田島靖久)