セールスは「つらい」が「ラク」になり、さらに幸せになる。商談は「売る」ためのものでもなく、「買ってもらう」ためのものでもなく、お客様の使っている姿をいっしょに共有する場。きれいごとだけで、個人営業・法人営業、対面・通販と商品、シチュエーションが変わっても常に結果を出し続けてきた秘訣――営業・販売におけるすべての問題は「1分」で解決できるノウハウがあります。時給565円のお茶くみOLが、離婚・シングルマザーを経て、1時間で1億売るカリスマ社長に変貌したセールス術を紹介します。
7月17日発売『セールスは1分で決まる!』連載第2回。

どんな商品、シチュエーションでも変わらない「商談の本質」

 売ってはいけない! 買ってほしいとも思ってはいけない!

 商品の良さを伝えるには、「お客様のことを知る」と「お客様の反応を見逃さない」が一番大切です。

 この考え方は昔から変わらず、私が大事にしていることです。

 私はある出来事を通じて、目の前にお客様がいてもいなくても、商品の値段が高くても安くても、状況に左右されない姿勢が、「商談の本質」であることを知りました。

 私はお客様の反応には気をつけていますが、「お客様の機嫌が悪くなっていないかな」とか「値段の話をしたら高いって言われるかな」などと、これまで顔色を窺って話をしたことは一度もありません。

 なぜなら、「買ってくれるかな。買ってほしいな。お願い買って!」という気持ちがまったくなかったからです。

「買ってほしい」という気持ちがあると、どうしても相手の顔色を窺ってしまいます。

 また、人によって態度をコロコロ変える人がいますが、言語道断です。

お客様の顔色で言葉、行動を変えてしまうと、お客様のペースで商談が進んでしまうのです。

 そのために、すべてが「買ってもらうため」の言葉になってしまい、お客様は徐々に「売りつけられている」という気持ちになっていきます。

 そう感じ始めると、お客様が守りに入ってしまい、拒絶の気持ちが芽生るのです。

 テレビショッピングの「ショップチャンネル」に出演したときのことです。

 1時間で1億円以上の売上を達成しましたが、出演が決まったときは正直、困りました。

 私の目の前にいるのは、お客様ではなく、4台のカメラです。

 私にとって、目の前にお客様がいない、相手の反応が見えないことはとても大きな恐怖だったのです。

 お客様が聞いてくれているかどうか分からないのに、一方的にしゃべり続けるなんて想像できず、これまでの私のやり方がまったく通用しないと思い込んでいました。

 しかし、放送が始まると、たくさんの人が商品を買ってくださったのです。

 売れてゆく数が、モニター画面に映るのですが、どんどん増えていく数をちょっと不思議な気持ちで見ていたのを思い出します。

 何が良い結果を招いたのでしょうか?

 結局、やることは変わらなかったのです。

「これまで通り、お客様が何を知りたいのかを想像しながら話そう」
「カメラの向こう側にいる、たった一人のお客様に話そう」

そう自分自身に言い聞かせたのです。

「対面のセールス」においても大事なことです。

「すごく良い商品を見つけましたよ。ちょっと見てください」と、「耳よりな情報をお伝えする」という気持ちでいつも話をしています。

 商品の情報が伝われば、十分満足できるので、お客様が商品を買ってくれなくても、がっかりしません。

「こんなに一生懸命話したのに買ってくれなかった!」というマイナスな気持ちを抱くこともありません。

 これは、お客様にとってもすごく気が楽なのです。

「こんなにすすめられているのに、断りにくいな。でも買いたくないし」と、お客様に窮屈な思いをさせてはいけないのです。

「買っても買わなくてもどちらでも、お好きにどうぞ! 今日は、話を聞いてくれてありがとうございます」という気持ちで十分。

「買う、買わない」の選択はお客様自身がするものです。

 むしろ、お客様が「気兼ねなく断る」ことができる状況をつくるほうが大切なのです。

POINT!

どんな状況でもお客様の顔色は決して窺わないこと!
あくまでも耳よりな情報をお伝えするという気持ちで、
買っていただくことを目的としないようにしましょう。