日本以外にも欧州、中東で
5人のパートナーが新たに着任

 シリコンバレーの投資会社で、スタートアップのアクセラレーターも運営する500スタートアップスが日本へ本格的に進出するというニュース。日本でも大きく伝えられているようだ。(編集注・関連記事:500スタートアップス本格上陸!背景に日本的雇用環境の崩壊)機動力の高い、そしてエネルギーのあるファンドだけに、日本のスタートアップ市場を活性化してほしいと願うばかりだ。

 実は、500スタートアップスは日本での発表と同時に、世界中で6人のベンチャーパートナーを加えている。日本でパートナーになったジェームズ・ライニー氏はその1人で、他にも東ヨーロッパ、ドイツ、イスラエル、トルコ、イギリスで現地の投資家や起業経験者を迎えている。

 日本と同様、これによって各地で新たに拠点を設けるようで、500スタートアップスの世界戦略がうかがわれるところである。各国の起業市場と投資市場の動向をにらみ合わせながら、好機をつかもうということだろう。

 その世界戦略もいくつものタイプに分かれているようだ。

 たとえば、この6人のベンチャーパートナーが発表される数日前の米9月4日には、500スタートアップスが8500万ドルのファンドをクローズしたことが伝えられていた。これは同社にとっての3回目のグローバルファンドで、日本からは電通やヤフー・ジャパンなどが加わっている。

 これに対して、日本でこれから調達が計画されている3000万ドルのファンドは、各国ごとのマイクロファンドという位置づけだ。当初は、1社あたり10万~50万ドルを投入し、さらなるラウンドにもつながれば100万ドル程度までの投資を見込んでいるとされる。バーチャルリアリティ、ヘルスケア関連の技術に注目するという。

タイで「トゥクトゥクファンド」など
アジア各地の起業家へ資金を提供

 500スタートアップスは、これ以前にもことに東南アジアへの関心を見せていた。国レベルでのマイクロファンドは、日本などに先立って韓国、タイで設立している。ベトナムでもベンチャーパートナーを雇い入れており、同様のマイクロファンドを設立する計画中であると見られる。

 ファンドにはそれぞれ面白い名称がついており、2015年2月にクローズした1500万ドル規模の韓国向けファンドは「500キムチ」、4月に設立したタイの1000万ドルのファンドは「500トゥクトゥク」だ。現在、インドで2000万ドル規模の「500スタートアップス・ワラー」の資金を調達している最中だと伝えられる。