IoTをイノベーションの“原資”とする体制を急げPhoto:Yoshihisa Wada

ICT時代は、
製品そのものを売るだけの時代ではない

 今年は「IoT(Internet of Things)元年」であるという。ICTとビッグデータの活用によりビジネスが進化し、新たなビジネスが創造されるだろうという認識は誰もが持っている。同時にそれは、「自社の事業成長にどう生かせばよいのか分からない」という疑問、危機意識と裏表である。

 ICTを事業成長、また事業の戦略的な進化につなげいくために経営者が考えるべきは、もはや製品そのものを売ることが事業の主軸ではないということだ。IoTのT、つまりThingsのその本質は「もの」ではなく「こと」である。製品やサービスを媒介として消費者と事業者がWIN-WINの関係を築く「こと」が、製品の競争力をさらに強化する。そのような循環を生み出せるかどうかがICT時代の事業戦略の大前提となる。

 コマツはすでに、ICTの力を駆使しながら製品だけを売るのではなく、そこから派生するサービスをビジネスとしていく取り組みで先行している自負がある。コマツは建設機械のメーカーであるが、単に機械を売るだけではなく、お客さまが機械を使って行う事業プロセスにおいてダントツのサービスとソリューションを提供していくことをめざしている。ICTを軸に製品と「こと」でWIN-WINの利益拡大を実現するのが事業戦略だ。

 ICT時代の一つの事業戦略モデルとして現状と、創生の過程をご紹介しよう。