結婚、出産した女性も育児がひと段落すると、職場に復帰して活躍できる時代になりつつあります。そんなワーキングマザーに対して職場の男性は意外なほどやさしく、理解して接しているようにも見受けます。

 その一方で、ワーキングマザーと独身女性は、些細なことをきっかけに対立をしてしまっている、との話をよく耳にします。しかも、同じ時期に入社し、仲が良かったはずだったとしても…です。おそらく、お互いの環境が変化して価値観が変わり、摩擦が起きてしまったのでしょう。

 今回は、こうしたワーキングマザーと独身女性の対立がなぜ起きてしまうのか、そして上司は両者の対立をどうマネジメントすべきかを考えていきましょう。

「転勤族」の夫であれば
仕事を辞める女性は多いが…

 仕事をバリバリこなしていた独身の女性社員であっても、結婚を契機に仕事に対する取り組みや考え方が大きく変わることがあります。なかには結婚報告と同時に退職願いを出す人もおり、私自身、それに愕然とする上司を何回も見てきました。

「課長、秋に結婚することになりました。相手は学生時代のサークルで先輩だった人です。式に主賓としておいでいただけないでしょうか?それと言いづらいのですが、来月で会社を退職したいと思います。彼は転勤が多い金融機関に勤めていますので…」

 このように切り出されたら上司はどうしたらいいでしょうか?めでたいことですから引き止めるのは難しい話です。まさか、単身赴任をさせて「会社に残れ」と言う上司はいないのではないでしょう。活躍している部下からの突然の退職報告を引き止められないのは、上司からすれば複雑なものがあります。

 このように結婚を契機に退職するという判断は、結婚するパートナー(旦那様)の考え方によるものが大きいようです。私が取材したネット広告の営業で活躍していた女性のGさんの場合、結婚したパートナーは5つ年上で大手商社に勤務中。夫が海外転勤になる可能性もあるとのことで会社を退職し、専業主婦になる選択をしました(将来的には社会復帰も考えている様子ですが)。

 とはいえ、実際に多くの調査機関が調べたデータでは、「結婚後も働きたい」と考える女性が過半数を超えています。しかもGさんは職場で活躍していましたから、「本当は仕事を辞めたくなかったのでは?」と訊ねてみました。すると、

「仕事との両立ができないか、ですか?いえ、2人で話し合って出した結論ですから。後悔はありません」

と、さっぱりした顔で話してくれました。確かにパートナーが転勤する可能性が高い仕事の場合、「旦那に単身赴任させるくらいなら…私が辞めよう」と考える女性が多いようです。