「サンデージャポン」「人生の深イイ話!」にも出演で話題の女子高生社長・椎木里佳さん。パパは「鷹の爪」で有名なコンテンツ会社「ディー・エル・イー」の椎木隆太社長です。

「私の強みは、女子高生!」

 里佳さんが、上場企業の社長であるパパに経営について学ぶこの企画。今回は「強みを利用すること」「環境の大切さ」を学びます。

(取材・構成:佐藤智、竹村俊介、撮影:小川孝行)

 

強みを120%利用する素直さ

パパ 自分の強みを知って、「女子高生起業家」って名乗り出したわけだよね。自分では思ってはみないところに強みがあったという発見って、けっこう大きかった?

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里佳 かなり大きかった! 「あなたは女子高生で、かわいくて、社長で、お父さんもすごくて、いろんな要素が詰まっているんだよ」みたいに言われたりして。じゃあ、それ全部使っていこう!って。

パパ そこを冷静に「強み」だととらえて、それを「利用しよう」と思えるのはいいところだと思うよ。

里佳 そう?

パパ 人によっては「自分の父親と関連付けられるのは嫌だ」とか思うだろうし。そういうことは全然思ってないわけでしょ? 素直だなとは思うよ。

里佳 それよりも「早く有名になって、男らをギャフンと言わせたい」という欲のほうが勝っていたから。

パパ ギャフンと言わせたい欲は今もあるの?

「私の強みは、女子高生!」

里佳 今はない、全然。

 それよりも今は、もっと社会的な貢献のほうがエネルギーになってるかな。

パパ 社会的な貢献というと?

里佳 最近、若い子たちから「椎木さんのことを見て、自分もまずは行動を起こそうと思いました」とか「いろんなことを頑張る勇気が出ました」とか「夢について考えています」とか、そういう話を聞くことが多くて。

 私がこんな自己満というか、テキトーに始めたことが、こんなにも多くの人の人生を変えるきっかけになっているのかもしれないと思うと、もっといろんな人にそう思ってもらえるとうれしいし、もっと会社も大きくして頑張らなきゃなって。

パパ 同世代からの反応が多いの?

里佳 同世代、多いね。……あとはオッサン。

パパ ちゃんと言葉を慎みなさい。オジさまね。

里佳 そう、オジさま方、めっちゃ多い。

パパ ツイッターとかで絡んでくるの?

里佳 絡んでくるよ。タメ語で「里佳ちゃん、キュッ」みたいな(笑)。

パパ え⁉ そういう人はオッサンと呼んだほうがいいかも(笑)。でも、実際オッサンかどうかわからないじゃない? 14歳かもしれないよ。

里佳 いや、オッサンなの。プロフィール「四一歳、競馬大好き」みたいな。オイオイオイみたいな。そういう人が多くて。面白いからいいんだけどね。

パパ まあ、いろんな層から反応があります、ということで(笑)。

 

パパ「自分らしく生きるには起業しかないと思ってた」

里佳 パパはどんな子どもだったの?

パパ 静岡県磐田市という田舎でノビノビと育ったよ。

里佳 のどかでいいところだよね〜。

パパ 今でこそジュビロ磐田もあって、サッカーの街みたいに言われるようになったけど、それまでは本当に誰も知らない町だった。実はそういう田舎って、会社員を見つけることのほうが難しくて。

里佳 農家ばっか?

パパ 農家ばっかというよりも自営業が多かったね。八百屋さんとか、クリーニング屋さんとか、文房具屋さんとか。あと、工場の工員さん。ヤマハとかスズキとかメーカーの工場がめちゃくちゃ多い。

 だから、広告代理店に勤めてますとか、商社マンです、みたいな人に会ったことがなかった。会社員で生き生きしていてスゴい人っていうのを見たことがなかったんだよね。

 近所のおじさんもみんな自営業で、ある意味社長さんでしょ。親戚も、父方はみんな芸術家系だし、母方は全部お医者様。

 だから親にとっても、会社員っていうのは空想の世界の存在。組織の歯車になってやりたいことなんてやれない奴隷なんじゃないか、みたいにインプットされた。会社員になるのってこわいなと思っちゃった。

里佳 会社員を知らなかったんだ?

「私の強みは、女子高生!」

パパ そういうところで育ったから、会社員になるとかなりきつい世界が、待ってる。だからなにか自分でやれることを考えなきゃって、すごく思ってたんだよね。だから子どものときは、社長に憧れるというよりも、自分で会社をやるしか、自分の人生は救われないと思ってたわけ。「自分らしく生きるには起業するしかない」ってね。

里佳 小学生ぐらいから?

パパ そうだね、小一くらいから思ってたかな。

 小三のとき、近所の社長やってるおじさんに「リュウちゃん、社長になるんだって?」みたいに聞かれたことを覚えてる。で、「何の社長になるの?」って聞かれて、パパは答えられなかった。それが恥ずかしかったんだよね。

里佳 何の社長になるかは決めてなかったんだ?

パパ そう。それでそのおじさんに「そんなことで、社長になるなんて言うな」って怒られるかと思った。だけどその人は、「いいんだよ、今はわからなくて全然いいんだよ。社長になるって言えるだけですばらしいんだよ」って。それにすごく救われたんだ。「やりたいことがあるから、社長になる」じゃなくて、「社長になりたいから社長になる」って言っていいんだ、って。そこでちょっと解放された。

里佳 私と似てるね。ビジネスモデル考え中、みたいな。

パパ パパも「ビジネスモデルがなくても、社長になりたい」っていう自分を許せた。やりたいことがないからって社長の夢を諦めなくていいんだって思えたんだよね。

里佳 おじいちゃんも経営者なんだよね。

パパ 里佳のひいおじいちゃんが写真館を創業して、それを継いだのがおじいちゃんね。いまは里佳の伯父さんが三代目……。

里佳 Jソウルブラザーズ?

パパ ん?

里佳 三代目だから。

パパ (笑)。まあ、だから、田舎で育って、おじさんとか町全体が、起業に対してすごく温かい目を持っていて、なにかチャレンジしようという若い子を応援しようという空気があった。それにすごく育てられたかな。

里佳起業を応援してくれる環境だったんだね。

パパ 静岡県の浜松とか磐田って、そういう気質があるんだ。

里佳 人は育つ環境が大事なんだね〜。

(続く)

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