Q.コンサルティング会社のマッキンゼー社のMECE(※)、ロジックツリーなど、発想を広げる考え方の枠組みがあります。堀江さんが何かの戦略を練る際、実際に利用するフレームワークはありますか。

コンサルのアイディアをうまくつまみ食いして
自己流で考えて活用するのが私の基本

A.そういった発想を広げるフレームワークなどを、意識して利用したことは、これまでに一度もありません。

 紙にキーワードをメモすることもありません。普通に頭の中で考えます。そもそも検討資料といったもの自体、そもそも作ったことがありません。

 しかし、今のような立場になるとスタッフとか外部協力者などが、そういったフレームワークに沿った資料などを使って、考え方などを提案してくることがありますので、目にすることはあります。

 私は、そうした者を活用した資料や情報を、必要に応じて適宜つまみ食いをしながら、基本は自己流で考えているというスタンスです。

 私の場合、物事の考え方は体系化されてはいませんが、まず常識を排除してゼロベースで考え直したりといったことは、よくやっています。

 また、歴史に学んだり、普通の人がやらないような突拍子もないことを考案して実際に動いてみる。そして実際に動きながら、軌道修正を重ねていくというような手法を用いています。

※MECE;Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive。相互に排他的で、しかし全体として網羅的といった意

Q.2015年の書籍のベストセラーが又吉直樹さんの「火花」となりました。芸人さんのなかには聡明な方、さまざまな才能を持つ方が多くいらっしゃいますが、堀江さんから見てビジネスの第一線で活躍する方たちと比べたとき、どのようにお考えになりますか。

両方やってみて感じたけれど
芸能界とビジネスの世界では求められるが違うんだよなぁ

A.うーん……。
 芸人さんとビジネスの世界では、「必要とされている能力が違う」というのがよいのでしょうか。

 というのも、ビジネスを展開する能力とクリエイティブ系の能力は、重なり合う部分が少ないと思います。

 ビジネスでの能力というのは、とりあえず動いてみるとか、誰とでも簡単に仲良くなれるとか、流行に敏感だけど流されないとか、情緒的ではなく論理的だとか。おそらく芸人さんたちの世界では、あまり上手くいかないような能力が求められるのだと思います。

 一方、芸能やクリエイティブというのは、演じてでもスピリチュアルだったり、情緒的だったり、庶民的だったり。そうしないと売れていかないものです。なので、ビジネスには向いていない人が多いです。

 したがって、両者を比べること自体がナンセンスだと私は思いです。ビジネスの世界では上手くいかないけれども、芸能界では成功しそうだという人はたくさんいます。とは言うものの芸能界に頭の良い人が多いと、一概に言えるかといえば、それとこれとは別の問題だと思います。