この1週間で政局は急施回して、菅直人新内閣が発足した。

 世論調査での新内閣の評判は上々で、政権も民主党も支持率がV字回復している。

 これは昨年の自民党政権への絶望が民主党政権を出現させたのとよく似ている。いわゆる「小鳩体制」であった鳩山由紀夫政権への絶望、不人気が新内閣への期待につながった点も無視できない。とにかく、自民党政権を終わらせたいと同じように鳩山政権を終わらせたいと願う人が多かったのだろう。

「反小沢」「革新派」「財政再建派」で
固められた菅新政権の顔ぶれ

 菅政権の党や内閣の主要人事にはいくつかの特徴が見られる。

(1)非小沢、反小沢の有力者が政権中枢を占拠したこと。

「ここまでやるのか」と驚くほど、菅首相は親小沢の人たちを中枢から遠ざけた。

 首相は連日、党や内閣の人事を自らぶら下がりインタビューで少しずつ明らかにした。

 かつてこんなことは1度もなかった。組閣は官邸で「呼び込み」によって集中的に行われてきた。メディアは総力で取材して入閣者の名前を報道したが、首相自身が明らかにすることはなかった。

 これはおそらく菅戦術だろう。

 すなわち、反小沢の人を起用することを明らかにすれば、世論は期待して世論調査に反映する。そして支持率が高まれば、小沢グループは勢いをそがれる。世論調査とタッグマッチで小沢派を封じ込めたのだ。