当初は幅広い道専用の
自動走行機能だが…

 自律走行車というのは、このようにして出てくるのだろう。

 そう感じたのは、先日シリコンバレーで、電気自動車メーカー、テスラ・モーターズの「モデルS」の試乗運転をした時だ。モデルSには「オート・パイロット」という機能が搭載されているのだが、もちろん部分的ではあるものの、「これが自走運転の感覚だな」と思わせるに十分なのである。順を追って説明しよう。

 モデルSは、テスラがアメリカでは2014年2月から出荷を始めたモデルである。だが、同年10月以降はオート・パイロットに必要なハードウェアを組み込み、後にソフトウェアのアップデートによって同機能が利用できるよう計画を進めていた。同社が、テスラ・ソフトウェア・バージョン7リリースと共に、オート・パイロットを発表したのが2015年10月である。

 さて、そのオート・パイロットはどんな道路でも利用可能だが、現在は、住宅地などの普通道路や中央分離帯がない道路での利用ができないように制限されている。またハイウェイでも、最高速度から5マイルを超える時速設定はできない。

自動運転中は
ハンドルが微妙に動く

テスラの自動運転機能を初体験!<br />自走車時代はすでに始まっているテスラSの「Autosteer」機能。中央分離帯のある道やハイウェイで使用可能だ。(https://www.teslamotors.com/presskit/autopilot より)

 スタートさせるのは簡単だ。ハイウェイ走行中にオート・パイロットに適した走行環境になると、運転席横にある大型スクリーンにアイコンが表示される。オート・パイロット機能は、それを合図にレバーを押すだけで起動する。65マイル(時速105km/時)など最大時速を設定しておくと、前方の交通状況を認識しながら速度を増したり緩めたりしながら走行を続ける。

 その間、スクリーンには前方を走る車が表示され、目視と同じように速度によって近づいたり遠ざかったりする。これで、車が前方を認識していることが確認できるわけだ。また、隣の車線を走行する車が追い越していく場合も、センサーがそれを認識していることがスクリーンに表示される。

 当然、車線も認識してその内側に留まりながら走行を続けるわけだが、その間、ドライバーは手をハンドルから離して、ハンズフリーの状態になれる。道路表面のちょっとした凹凸などをかわすために、ハンドルが自動的に左右に振れる様子を見るのは、まさに自走状態の感覚だ。

 さらなるフィーチャーは、「オート・レーンチェンジ」である。これはオート・ナビゲーションで走行中にウィンカーを出すだけで、自動的に車線変更を行う機能だ。移りたい車線を走る車との距離や速度を計測して、安全に車線変更を行う。下手なドライバーよりはよほど確実に変更する感じだ。