中国発の株安が再び世界の株相場を揺るがしている。戦後初めて、日経平均株価は年初から6営業日連続で下落した。その要因の一つといわれる中国経済が直面する問題と、マーケットが抱えるリスクを検証した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子、前田 剛)

中国ショックで露呈した脆弱相場の真のリスクPhoto:YUTAKA/アフロ

 昨年夏の中国ショックの再来か。上海株の急落に端を発した世界同時株安に、市場が揺れている。日米欧など主要市場の株価は年初から大きく下落(下図参照)。特に日経平均株価は、6営業日連続の下落という戦後初の事態となった。1月13日、ようやく反発して1万7715円で引けたものの、翌14日には一時的に1万7000円を割り込むなど、不安定な状態にある。

 2015年8月、人民元の切り下げをきっかけに起こった世界同時株安は記憶に新しいが、今回も株価下落の引き金になったのは中国だった。取引初日の1月4日に発表された、中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回ったことで上海総合指数が急落。値動きが制限幅を超えると取引を停止する「サーキットブレーカー」が発動されるに至った。

「上海株急落で、そもそも中国の統計指標は信用できないと感じている投資家の間に、中国経済はもっと悪いんじゃないかとの疑心暗鬼が広がった。それで相場がリスクオフ(リスク商品を売って安全資産を買う)になり、世界同時株安につながった」(西濱徹・第一生命経済研究所主席エコノミスト)。

 相場の混乱はその後も続く。上海株は取引初日の急落後いったん反発したものの、4日目の1月7日に再び急落。皮肉にもこの急落を招いたのが、極端な値動きを抑えるために導入されたサーキットブレーカーだった。相場がいったん下げ始めると、サーキットブレーカーの発動で取引停止になる前に売ってしまおうという個人投資家のパニック売りが殺到し、相場が一気に下落したのだ。同日夜、中国当局は導入4日目にしてサーキットブレーカーの運用停止に追い込まれた。

 本稿執筆時点(1月14日)で、上海総合指数は再び3000を割り込み、下落に歯止めがかかっていない。「企業の業績からすれば、まだ割高。2000~2500くらいが妥当な水準」(柯隆・富士通総研主席研究員)との指摘もある。そうだとすれば、上海株の下落は当面続くことになり、世界の主要市場の混乱も収まらない可能性がある。いったい中国の実体経済はどのくらい悪いのだろうか。