日本では、新品時だけ価格が異常に高く、中古になると値段が大きく下がる。

だが、それを使うときの価値は新品とさほど変わらない。この中古価格と使用価値との歪みに着目すれば、誰でもお金持ちになれるというのが『ベンツは20万円で買え!』の内容だ。「新品神話」を抱く日本人に多くのヒントを与えるエッセイの一部を紹介しよう。

趣味性の高いものに
多額の資金を投入してはいけない

 たとえ憧れのオープンカーを新車で購入しても、納車後、実用性がないことに気づくだろう。

 ワタクシのメルセデス・ベンツSLK230は、後輪駆動のため雪道は走らないので、雪が降った冬は、夏タイヤを履きっ放しのまま、駐車場に野ざらし放置プレイを実施中である。資産にたとえると、不良債権に分類される。

 夏でも、毎日、SLKで移動しているわけではない。雨の日はほとんど乗らない。寒い日や夜も乗らない。屋根を開けると直射日光で熱いので、気温が高すぎるときも乗らない。仕事が忙しいときには乗れない。

 狭くて容積率が低いので、長距離移動には向かない。トランクルームが狭いので、荷物の運搬には向かないし、荒れた土地を走ることもできない。家族や友人と移動する場合、セダンのほうがいい。5人乗れるし、エアコンも効き、乗り心地がいい。

 それでも、屋根をオープンにして、大気と一体化する爽快感は、何事にも代えがたい。

 しかし、トータルで考えると、利用回数の少ないマシンであり、年間数千キロしか走らない。だから、多額の予算を投入するのもつまらないと考えた。なによりも、新車で購入するお金があれば、田舎で中古の家が買える。それならば、家を買って貸すほうがいい。毎月、家賃が入ってくる。そのほうが楽しいではないか。

趣味よりも、資産にマネーを投入するのだ。

 男にとって、クルマとはオモチャみたいなものだ。だからこそ、オープンカーのような趣味性の高いクルマには、お金をかけない。中古で買えばいいのだ。

 根気よく探せば、高級車や憧れのマシンが50万円以下で買える。ワタクシのメルセデス・ベンツSLK230の売値は50万円だった。乗らなくなったホンダ・モビリオと朽ち果てたダイハツ・ハイゼットを下取りに入れて、支払った現金は20万円だ。

 たった20万円+αで、メルセデス・ベンツのオープンカーに乗れるのだ。

 大人のオモチャに多額の費用をかけるより、不動産を買うほうがいい。不動産をたくさん持てば、クルマが必然的に増える。ワタクシは現在、11台のマシンを持っているが、どれも中古車で、数台を除いては、人から見たら価値のないものだ。しかし、所有しているクルマをうまく活用していけば、低予算で楽しいカーライフが待っている。