菅直人首相は所信表明演説で「強い経済・強い財政・強い社会保障の一体的実現」を目指すと述べた。日本国債の“ギリシャ化”を避けるため、財政再建への方向性をにおわしたことは正しいと思われる。

 しかし、それと「強い経済」「強い社会保障」を同時に実現することは実際は困難だろう。

 英国では、キャメロン政権が6月22日に予算案を発表する。すでに示唆されている基本方針は、社会保障・行政サービスを大胆にカットして、国民に痛みを求め、かつ、しばらくは低成長を甘受するという、幻想を抱かせない厳しいものである。日本の政策議論にとっても示唆に富んでいる。

 オズボーン財務大臣は、2015年までに構造的な財政赤字を解消するとすでに宣言している。英政府支出は、前年比で11年19.3%減、12年は8.5%減が想定されている。

 前労働党政権とは大きく異なり、多方面で歳出削減が検討されている。

 たとえば、条件付きで19歳まで支給している子ども手当を課税対象にし、かつ支給を13歳で打ち切ることが検討されている。