日本では、新品時だけ価格が異常に高く、中古になると値段が大きく下がる。

だが、それを使うときの価値は新品とさほど変わらない。この中古価格と使用価値との歪みに着目すれば、誰でもお金持ちになれるというのが『ベンツは20万円で買え!』の内容だ。「新品神話」を抱く日本人に多くのヒントを与えるエッセイの一部を紹介しよう。

中年のオヤジには
中古のオープンカーがぴったり

 一度でもオープンカーに興味を持ったことがある人は、勇気を振り絞って購入してみよう。実はワタクシ、元々、単車乗りだった。

 高校3年生のときに、自動二輪車中型限定免許だったにもかかわらず、ホンダCB750K4型を買った。当時は中型免許でナナハンに乗っても、条件違反で2点の減点だけだった。4本マフラーの芯を抜き、爆音を轟かせ、疾走していた。思い起こせば、あの頃から少しイカれていたのかもしれない。その後、自動二輪限定解除をしてCB750F、カワサキGPZ1000RXに乗っていた。

 ところが、もはや中年隊となり、昔のように単車に乗るのも危険だ。なによりも、一番乗りたかった青春時代に思う存分乗っていたから、欲求がすでに満たされていた。

 渡米してから、クルマのほうが楽だと思い始めた。アメリカでは移動距離が長い。単車で事故に遭遇した場合は、英語が達者なアメリカ人に、うやむやにされてしまいそうだったからだ。

 そんな堕落した軟弱ライダーに夢と希望を与えてくれたのが、オープンカーだ。屋根を全開にして走る感覚は、単車とクルマのいいところをうまく組み合わせたものだと思った。運転が楽で、少しは荷物も積めて、しかも、ノーヘルで走行OKである。停車しているときでも、足で車体を支えなくていい。

 軽自動車のオープンカーでも、新車で買うと200万円以上する。国産車でも300万円以上。外車であれば500万円以上する。諸費用や税金も、購入価格に比例して大きくなる。しかし、中古車なら、その10分の1の値段で手に入れることができる。