「想定外の顧客」に目を光らせる

【公式06】100万人動員の法則<br /><br />【貧す人】→想定外は、“無視”しよう。<br />【稼ぐ人】→想定外を、“重視”しよう。神田昌典(Masanori Kanda)
経営コンサルタント・作家。株式会社ALMACREATIONS代表取締役。日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」主宰。上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会を創設(現在「次世代ビジネス実践会」)。のべ2万人の経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織に発展。わかりやすい切り口、語りかける文体で、従来のビジネス書の読者層を拡大。「ビフォー神田昌典」「アフター神田昌典」と言われることも。『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、「日本のトップマーケター」に選出。2012年、アマゾン年間ビジネス書売上ランキング第1位。著書に、『あなたの会社が90日で儲かる!』『非常識な成功法則【新装版】』『口コミ伝染病』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『全脳思考』『ストーリー思考』『成功者の告白』『2022――これから10年、活躍できる人の条件』『不変のマーケティング』『禁断のセールスコピーライティング』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』『ザ・マーケティング【基本篇】』『ザ・マーケティング【実践篇】』などベスト&ロングセラー多数。

 自分が想定しようもなかったお客様が、突然、現れた……!

 そんなとき、【稼ぐ人】は、想定外の顧客に、目を光らせる

 なぜなら、その人物は、新しいマーケットという幸福をもたらすキーパーソンであることが多いからだ。

『折り梅』(松井久子監督・2001年)という映画をご存じだろうか。アルツハイマー型痴呆症を発症した母親をめぐる、家族の葛藤のストーリーだ。

 この映画、地味なテーマのせいもあり、実は映画関係者を集めた試写会では、観客の反応はあまりよくなかったという。

 ところが、その試写会に、場違いな一般の主婦がいた。自身もアルツハイマーの身内を抱え、介護で悩んでいたという。

「100万人動員」の奇跡

 映画が終わり、映画関係者が帰ろうと席を立ったとき、この主婦は涙を流しながら、訴えた。

こんなすばらしい映画は観たことがない」と。

 この主婦の反応がきっかけとなり、『折り梅』は全国配給が決定。その後、口コミで観客を集め続けて、100万人を動員するに至った。

 お客様の中の想定外のひとりが、ムーブメントをつくるきっかけとなる……。これはビジネスではよくあることだ。

 私が、記憶と情報整理のためのノート術「マインドマップ」の日本での普及に携わったときもそうだった。

 当初、英国大使館と組んで、マインドマップ開発者のトニー・ブザン氏の来日レセプションを企画した。招待者は、教育に熱心な上場企業経営者100人だったのだが、ダイレクトメールの案内に反応してきた中には、育児中の派遣社員がいた。

 ダイレクトメールを捨てようと思って目を通していたら感動し、これはぜひ社長に渡さなければならないと奔走し、さらに自分も参加させてくれ、と言ってきたのだ。

 日本の子どもたちにマインドマップを使ってもらいたいという私の想いは、間違っていないと直感した。事実、その後、マインドマップは小学校から大学まで、多くの教師の方々にサポートされ、大きな拡がりを見せることとなる。

異質なものは、ないか?
普段ここにいない人は、いないか?

想定外のものや顧客が現れたときこそ、【稼ぐ人】は、そこに目を向けるのだ。