欧州系投資銀行、米系戦略コンサルティングファーム、米系資産運用会社勤務、アジア・太平洋地域のプライベートエクイティファンド投資等の経歴を持ち、英語・日本語・韓国語・中国語を操る「グローバルエリート」のムーギー・キム氏。グローバルエリート・ネットワークを有し「一流」に対する目利きは随一のキム氏が「一流のプロフェッショナル達が持つ共通点」について語る。

一流エリートと二流エリートの差は「主体性」

「ほんまに、どのテレビ見ても雑誌見ても、清原、ベッキー、そして狩野英孝の浮気問題…それ以外に大切なことが、この国にはあるんとちがうか!!」

 というわけで、東洋経済オンラインでの「グローバルエリートは見た!」から早2年、このたび『一流の育て方』という本をダイヤモンド社さんから出していただくことになり、このたび光り輝くダイヤモンドの地に降り立たせていただいた。

 皆さんは「一流」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか? 一流の政治家かもしれないし、一流の学者かもしれないし、一流の経営者かもしれない。一流の音楽家や一流のシェフ、一流のプロレスラーだっているだろう。

 これら一流の人たちが集まる集いに行くと、分野は全く違うのに、本質的な共通点があることがわかる。世界中の一流のエリートと二流のエリートを分けるその分岐点は、「主体性の強さ」「視野の広さ」「グリット(やり抜く力)」「コミニュケーション能力」「学習意欲」に「躾と愛情深さ」である。そしてこれらは彼らの家庭環境および幼少期からの育てられ方に起因することが多いのだ。

 これは著書『一流の育て方』でも詳しく述べているが、子どもを一流に育てる具体的な実行方法は著書に譲りつつ、本連載ではなぜこれらの「子育ての本質」が、一流のビジネスパーソンを育てる本質と同じなのか、そして「自己実現できる力」を育むにはどうしたらいいのかを、親愛なる読者の皆様とともに議論していきたいと思う。

ファーストペンギンが持つ、主体性とは?

 最近「ファーストペンギン」という言葉をよく耳にするのではないだろうか? これはペンギンの群れが危険を察知したときに、真っ先に海に飛び込む勇敢で冒険心あふれる、リスクをとれるペンギンのことを指している。

 たとえば金融業界やコンサルティング業界にいわゆるエリート人材が殺到するときに、自分だけオファーを蹴って小さなスタートアップに入社し、リーマンショックで皆が解雇される直前にIPOで売り抜けるアーリームーバ―たち。彼らは不動産活況で皆が沸いている間に、自分だけさっさと売り抜けて店じまいする。また株価が上昇局面で田舎のおばさんたちがマネックス証券で口座を開いたころに、自分は株を全部売りつけて手じまいし、他の人が気づいていない次の機会を求めて挑戦を続けるのだ。

 私は世界中で様々な優秀なプロフェッショナルと働いてきた。頭も学歴もよい彼ら・彼女たちの中で、頭一つ抜けている「ファーストペンギン」である人の最大の特徴とは、なんといっても「周りに流されない主体性」の有無につきる。

 主体性とは自分で考え、行動する力のことだが、一流の人は言われる前に動くし、そもそも上司よりもよっぽど先のことを高い視線で考えている。これに対し、学歴が良いだけの“二流のエリート”は常に受け身で、言われたことしかやらない。ちなみに三流の人は言われてもやらないし、怒られても3日たったらもとに戻っているのだから、手が付けられない。