太陽光発電市場のシェア争いが激化する。シャープ、京セラの2大メーカーに、後発のパナソニックグループが殴り込みをかけたのだ。傘下に収めた三洋電機製の太陽電池を使って、パナソニック電工が発電システムの販売を今月開始、2012年度には国内シェア35%を掲げ、トップメーカーに躍り出る強気の計画を描いている。

 当然、ライバル他社には警戒感が広がっている。というのも、パナ電工の販売力をもってすれば計画が決して絵空事ではないからだ。

 パナ電工は住宅照明や屋根材、分電盤や配電システムの最大手で、取引のある電気工事店や工務店は全国12万店に上る。地域に根づき、長年付き合う顧客を抱える。

 太陽光パネルの設置には日当たり角度が最適になるよう綿密なシミュレーションと屋根の知識が必要で、施工が悪いと雨漏りを引き起こす場合もあるが、この点、彼らの施工技術やアフターケアもウリになる。

 太陽電池の国内出荷量は09年の618メガワットから12年には1300メガワットにまで拡大が予測されているが、うち8割弱が住宅用。しかしこの間4倍に急拡大すると見られる公共・産業用にも期待が高まっている。

 その一つが学校で、耐震化やエコ改修に補助金が出る「スクールニューディール構想」により、公立の小中学校の太陽光発電設置は09年4月時点の1200校程度から早期に10倍に引き上げられる計画だ。その市場規模を概算してみても、システム1台当たりが数百万~1000万円なので数百億~1000億円程度の市場になる。

 ただ、パナ電工の真の狙いは太陽光発電システム販売の先にある。LED照明や断熱材といった省エネ商品、さらにはIHクッキングヒーターや電気給湯器といったオール電化商品を「太陽光発電と組み合わせることで、より省エネになる」とまとめ売りすることだ。

 補助金の有無など政策で左右される太陽光発電市場だが、たった3年で勢力図が塗り替わるのか、目が離せない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

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