3月中旬に世間を賑わせた、ショーンK(ショーン・マクアードル川上)氏の降板騒動。その影響もあってか、「あの人も学歴詐称しているかも」「経歴に疑わしさを感じる人に会ったことがある」といった声が、筆者の周囲からも聞かれるようになった。実際、巷ではどんな「経歴詐称」が行われているのか。それが周囲の人たちに与える影響とは、どんなものか。聞き込み調査でわかった、興味深いエピソードを紹介しよう。(取材・文/鎌田和歌、編集協力/プレスラボ)

まさか、そこまで嘘だったとは……。
あなたの隣の「ホラッチョ」たち

その経歴、本当に本当? <br />あなたの隣の「ホラッチョ」たち<br />あなたの周囲に「ホラッチョ」たちは、どれくらいいるのだろうか

 眉間にしわを寄せた彫りの深い顔立ちと低音ボイス。ニュースのコメンテーターとしてもよく見かけたショーン・マクアードル川上氏に経歴詐称疑惑が持ち上がったのは、3月の中旬。「テンプル大学で学位」「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得」「パリ第1大学に留学」などの学歴について川上氏にメディアが取材したところ、「学位は取っていない」などと回答。その後、「HPに間違った文章が記載されてしまっていた」などと釈明した。

 これが発端となり、ショーン氏の会社のHPにコンサルタントとして掲載されていた画像が全く別の人物であったことが発覚するなど、芋づる式に疑惑が噴出した。所属事務所は「ショーン・マクアードル川上」は芸名であり、戸籍名は「川上伸一郎」であることを発表。「父がアメリカと日本の半分、母が日本と台湾の半分」と語っていた出自にも疑問符がついた。コメンテーターとしての説得力を増すのに一役買っていた渋い顔立ちに対して、整形疑惑さえ持ち上がっている。幼少の頃のあだ名が「ホラッチョ川上」だったとも報じられている。

 ショーン氏は3月19日にナビゲーターを務めるラジオ番組で、「何をどのように伝えられても、今回の取り返しのつかない事態の発端と過ちの原因、その責任は私にあります」と涙ながらに謝罪した。

 世論の反応は様々。「経歴詐称するような人を報道番組が起用していたなんて、あり得ない」と起用側の責任を問う声や、「謝って降板しているのだからこれ以上責めなくても……」と本人に同情する声も。中には、「あの顔と声が“キャラ立ち”し過ぎていて、怪しいと思っていた」という人もいるようだ。

 ライターの松谷創一郎氏は、「ショーンK氏経歴詐称騒動を考える──テレビ局、ネット炎上、『有名性』と『キャラ化』、『クヒオ大佐』 」(ヤフーニュース個人/3月16日)の中で、ショーン氏について「この“盛り方”は詐欺師の手口に近い」と批判しながらも、騙されて起用したマスコミ側にも責任があると指摘。近年、マスコミが登用する人物に過剰なまでに「キャラ化」を求めたことが、ショーンK氏だけではなく、佐村河内守氏、小保方晴子氏の「登場」につながったのではないかと分析している。