7月16日公開 の孫正義社長インタビューに続く、特集「破壊王・孫正義のソフトバンク」(週刊ダイヤモンド7月24日号)からの特別公開第二弾は、インターネット上の言論サイトやツイッター、講演会の場などで熱く激しい発言を繰り返す松本徹三・ソフトバンクモバイル副社長へのインタビューをお届けする。70歳を超えてもエネルギッシュなグループのキーマンが、SIMロックの根拠から孫正義社長の魅力、日本のモバイルの課題まで縦横無尽に語る。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨仁)

─来春より、NTTドコモは、新しく発売される携帯の全端末を対象に、「SIMカード」(利用者を識別するためのモジュール)のロックをはずす準備を進めるとの意向を明かしました。これがはずせると、利用者は自分の意思で通信会社を選べるようになります。

孫正義社長の新参謀が激白!<br />ソフトバンクモバイル 松本徹三副社長インタビュー<br />“SIMロックの根拠から孫正義の魅力、日本のモバイルの課題まで”松本徹三(まつもと てつぞう)
ソフトバンクモバイル副社長
1939年生まれ。京都大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。マルチメディア事業部長を経て、96年にコンサルティング会社を設立。その後、米クアルコム社の上級副社長などを歴任。2006年にソフトバンクグループへ。
Photo by Toshiaki Usami

  最近まで、ドコモは「消費者からの要請があれば考えますよ」という消極的なスタンスでした。

 常識的に考えれば、まず2~3機種を「SIMロック・フリー端末」にして様子を見ながら、消費者の反応に合わせて、少しずつ端末を増やしていくものでしょう。

 あまり他社のことを言うべきではないですが、なぜ突然、全機種を対象にSIMロックをはずす意思決定に至ったのかについては意味がわかりません。「なんらかの思惑で、ドコモは初めからはずすつもりだったのでは?」などと邪推してしまいます。じつは、今回の一件については、当のドコモが仕掛け人で、「裏で総務省を動かした」と見る人もいるでしょうね。

 ドコモにすれば、強力な商材のiPhoneやiPadの販売権は獲得できなかったけれど、通信料金は欲しいということだと思います。

─しかし、ソフトバンクは、日頃からNTTに対して「開放」を求めていながら、一方でiPhoneやiPadに限って「ロックは当然」と開き直っています。その姿は、世間の支持を得られないのでは?

 確かに、言葉で聞くと、開放=善、ロック=悪という響きになります。でも、一つひとつを“別個の問題”として考えてほしい。

 それでソフトバンクモバイル(SBM)に対して悪いイメージが付くのはいやなのですが、現時点ではロックをはずしても(消費者には)大きなメリットがなく、むしろデメリットのほうが大きいと主張しています。