少子高齢化対策の一環として「ワークスタイル変革」に取り組む企業は少なくない。しかしその成果はといえば、あまり芳しくないのが実情だろう。ツールや制度を導入しただけでは、ワークスタイル変革は実現しない。着実に成果を上げている先進企業に学ぶ、成功のポイントとは。

生産性の向上だけでなく
年間の出張費900万円削減も

 日本社会の将来を考える上で、もはや定型句のようになっている「少子高齢化」。企業にとってみれば、人口が減少して国内市場が縮小するだけでなく、屋台骨を支える人材が減少するということであり、その対策は喫緊の課題だ。実際に、15歳から64歳の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続けており、総人口に占める比率も2060年には50%近くにまで落ち込むと推計されている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。

日本ビジネスシステムズ
ソリューション営業本部
AOソリューション営業部
推進チーム
テクニカルマネージャー
石田 定治氏

 その具体的な解決策としてここ数年叫ばれているのが「ワークスタイル変革」だ。自宅でも仕事が可能なテレワークや直行直帰型を含めた多様な労働形態の導入、さらには生産性を高めるためにオフィスの固定席を廃してフリーアドレスを採用している企業も多い。しかし、その効果はどうだろうか。最新の制度やツールを導入しても運用がうまくいかず、結局元に戻ってしまったという企業も少なくないのではないだろうか。

 そんな中、本社移転を契機に本格的なワークスタイル変革に取り組み、着実に成果を上げているのが、日本ビジネスシステムズ(JBS)だ。同社の変革の大きな二つの柱が「フリーアドレス化」と「ユニファイドコミュニケーションツールの全社導入」。

日本ビジネスシステムズ
ソリューション営業本部
AOソリューション営業部
営業チーム
佐藤 彩氏

 前述した通りフリーアドレスを採用している企業は少なくないが、JBSはなぜそれをワークスタイル変革にまでつなげられたのか。そのヒントとなるのが、社員の意識改革だ。「オフィスのどこでも仕事ができるようになり、働く環境の変化が社員の意識改革につながりました」とJBSの石田定治氏は話す。

 また、ユニファイドコミュニケーションツールの全社導入に関しては、ワークスタイル変革にとどまらず、コスト削減効果まで生んでいるという。「Web会議の活用で出張を減らし、交通費は年間で約900万円以上、移動工数をコストに換算すると数千万円の削減になっています」とJBSの佐藤彩氏は試算する。

 もちろん、同社がこのような成果を上げるまでには、それなりの努力や工夫があった。主要なキーワードが、「全体最適」「全社員の納得」「電話に縛られないコミュニケーション」だ。3回の失敗の末にワークスタイル変革を成し遂げたパートナー企業の日本マイクロソフトの取り組みと合わせて、その変革の道のりを細かく見ていこう。

この記事の続きは以下からPDFを
ダウンロードしてお読みいただけます。

(この資料のダウンロード期間は終了いたしました)