今年の夏を総括すると、猛暑日・熱中症のニュースと民主党代表選挙の動向に気を取られていたら、円高・株安の加速で経済情勢の悪化が懸念される事態となっていた、という感じかと思います。この状況は9月になってもなかなか変わりそうにありません。

 民主党代表選挙はさておき、猛暑日・熱中症に加え、円高・株安という“有事”には、環境問題を語ることさえはばかられる気がします。環境の議論は、どうも有事には不向きなようです。

わかっちゃいるけどやめられない
「消費の先食い型」の環境政策

 そんな中、遅ればせながら、政府は30日の夕方、追加経済対策の基本方針を決定しました。この中で「環境」の項目は、住宅・家電エコポイント制度の延長というかたちでしっかりと盛り込まれていました。“有事”に不向きなはずの「環境」ですが、なぜか“有事”にも頼られてしまう。本当に「環境」とは、掴みどころのない不思議なものです。

 しかし、追加経済対策においても、消費先食い型の政策に頼らざるを得ない状況は、相変わらずです。

 経済情勢は、多面的な要因で常に変化していることから、政策が後手にまわるほど、場当たり的な対応にならざるを得なくなります。その結果、仮に一定期間での経済効果はある程度認められたとしても、自律的な経済的基盤を構築するまでには至らないものです。

 こうしたことはここで述べるまでもなく、皆が頭の中では理解していることですが、「背に腹は代えられない」という有事の状況下では、「(利益の先食いと)わかっちゃいるけど、やめられない」という思考停止に陥ってしまいがちです。

 有事に環境のことを語ることがはばかられるのは、猛暑日にエアコンに頼らざるをえないという、「意識と行動との矛盾」が大きな理由としてまず挙げられます。また、経済状況の悪化が懸念される中で、環境を語ることがはばかれるのは、「経済最優先で、環境のことを考えているヒマがない」という、経済面における環境への期待度の低さを象徴するものといえるでしょう。

 これらはいずれも、環境問題に対する「理想と現実とのギャップ」に由来するものです。