「たとえばどんなことなのか」と聞いてみる

 会話をしていても、「なんだか話が続かないな」と思うことがあります。

 本当に話が合わない相手ということもあるかもしれませんが、少しばかり話しにくいからといって、「この人とは話が合わない」と思ってしまうのはちょっと早すぎます。根本的に話が合わない人というのは、そうそういるものではありません。

 話が続かないと感じるときに意外と多いのは、お互いが漠然とした話をしているので、会話が深まっていかないというケースです。

 たとえば次のような会話です。

A「新しい仕事どう?」

B「まあまあね」

A「そうか。どこの会社も同じようなものね」

B「そういうことね」

 これでは会話は深まっていきませんね。

 こうした大づかみの会話を深めるために役立つのが、コーチングの代表的なスキルのひとつである「チャンクダウン」という方法です。名前だけを聞くと、何かむずかしそうな感じがしますが、簡単に言ってしまえば「具体的にはどうなのか」聞いてみるということです。

A「新しい仕事どう?」

B「まあまあね」

A「まあまあなんだ。それっていい意味?」

B「そうでもないのよ」

A「どうしたの?」

B「ちょっと職場の雰囲気が堅苦しいのよね」

A「どんな感じなの?」

B「上下関係が厳しいっていうか……」

A「たとえば、どんなことがあるの?」

B「上司は絶対って感じで、給与明細をもらうときにもいちいち上司の席まで行って、お礼を言わなきゃいけないし、しかも、女性がお茶当番やゴミ当番を押しつけられてるのよ」