一見、とても人が集まりそうにない田んぼの真ん中にあるのに、なぜあの店にはいつもお客が絶えないのだろう?――そんな「売れる立地」は、科学的なアプローチで導き出せるという。飲食・小売・サービス業を中心に、これまで4万件近くの店舗展開戦略を成功に導いてきたディー・アイ・コンサルタンツの榎本篤史社長らが、この6月に『立地の科学』を上梓した。

人通りは多いのに、なぜあの場所は
テナントが頻繁に入れ替わるのだろう?

――このたび、『立地の科学』を上梓されたねらいは?

榎本 チェーン展開する企業のトップの方の「カンと経験」には本当に敬服するものがあります。しかし、それゆえに多くの企業では、出店のゴーサインを社内の少数の方が握り、なかなかスピードアップできないのが実態です。

出店を数十店、数百店、あるいは千店規模で行おうとした時、その判断を“科学的”な裏付けを持ってルール化できれば店舗展開を一気に加速させることができます。本書では、そのためのアプローチについて、順を追って解説しています。

――事例が豊富に出てきますね

ディー・アイ・コンサルタンツ
取締役社長 榎本篤史
チェーン企業の持つ「勘や経験」、さらに店舗で日々起こっている顧客の購買行動を科学的に分析、数値化して企業の継続的な成長を支援するディー・アイ・コンサルタンツで取締役社長を務める。小売業、外食、サービス業、生活関連サービス、娯楽業など、幅広い流通分野での成長支援プロジェクトに参画し、クライアント企業との協働作業により、戦略立案、実行を支援している。

榎本 みなさんのごく身近にも、とても人が集まりそうにない田んぼの真ん中にあるのに繁盛している店や、逆に人通りの多いところにあるのにしょっちゅうテナントが代わる店など、不思議な店がけっこうあるのではないでしょうか。それらの店がなぜ売れるのか、あるいは売れないのか。かなり極端な例(笑)をあげて解説を試みました。

きっと「あるある」と、思い出しながら面白く読んでいただけるのではないでしょうか。そしていずれの例も“科学的”な解説に、「ああ、そうだったのか!」と納得していただけると思います。

――「売上の要因」をいかに見つけるかが、カギになるとのことですが

榎本 店の目の前に人がどれほど行き交っているのか、という通行量調査はよく行われますが、じつは店の売上に関連する要因はほかにもたくさんあります。

実際のコンサルティングでは、まず、それらを洗いざらい調べて数百にも及ぶ「売上要因」をあげ、最終的には数十にまで絞り込んで売上を予測する関係式を作っていきます。いったんそれができれば、あとはどの立地についても「売上要因」を代入することで、売上を正確に予測することができるわけです。本書でもその課程を解説しました。

――どのような方に一番、読んでいただきたいですか?

榎本 やはりこれから大々的にチェーン展開しようという意欲あふれる企業の意思決定層の方々ですね。もちろんチェーン企業で働くどのような方にとっても非常に有益な本になると思います。

大手チェーンでは着実に立地選定を行い、不動の立場を築いているように見えます。しかし、本書を読めば、その中へ攻め込むための、強力な“武器”の存在に気づいていただけると思います。競合と戦うためにも、長期的な戦略作りのためにも、“科学的”なアプローチがいかに有益であるか、それをぜひ知っていただければと思います。

■新刊案内
  立地の科学 購買行動を数値化する出店戦略

ディー・アイ・コンサルタンツ、榎本篤史、楠本貴弘 著
ダイヤモンド社

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