英国民は「EU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票」においてEUからの離脱を選択した。

 英国は今後、5億人を超えるEU市場への自由なアクセスを失うこととなる。WTO(世界貿易機関)ルールの下でEUと貿易せざるを得なくなる場合、英国経済の縮小は不可避だろう。

 世界の総需要が不変なら、英国の競争力低下は他国にプラスに働くため、世界恐慌のような事態に陥る可能性は低い。ただ、EU離脱ドミノに発展するリスクや、世界が保護主義に傾斜し貿易量が縮小する懸念を考えれば、世界経済への負の影響は大きくなりそうだ。

 米国の金融政策にも影響は及ぶだろう。世界経済の先行き不透明感だけでFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを見送るかは測りかねるが、米国経済には明確にドル高という逆風が吹く。

 国民投票直後、英ポンドの下げが突出する一方、円高、ユーロ安は限定的であった。ユーロ安が限定的だったことで、米ドル上昇も限られたが、今後はユーロ安ドル高の圧力が強まりそうだ。