時代が求めた必要悪? <br />貧困層を食い物にする「保証人ビジネス」の闇を追う東京・神田で開かれた「保証人ビジネス」の被害者集会。「お金を払ったのに保証人が紹介されない」といったトラブルが急増している。

「5万円払ったのに保証人が紹介されない」

 9月下旬、東京・神田の雑居ビルで、最近急増している「保証人ビジネス」の被害者集会が開かれていた。

 保証人紹介ビジネスとは、保証人をみつけられない人に、業者がそのなり手を紹介するサービス。保証人を必要としている人が、業者に料金を支払い、保証人の引き受け手を紹介してもらう。業者は一定の報酬を保証人に払い、その差額で利益を得る仕組みになっている。しかし、悪質な業者が後を絶たない。

「お金を払ったのに保証人が紹介されない」
 「問い合わせただけでしつこく料金を請求される」

 なぜいま、被害が増えているのか。取材を進めて見えてきたのは、現代社会の病理とも言える構図だった――。

本人の許可なく紹介?
個人情報悪用の疑いも

時代が求めた必要悪? <br />貧困層を食い物にする「保証人ビジネス」の闇を追う保証人紹介業のホームページ。「来店不要」「成約率97%」といううたい文句で手軽さを訴えている。

 東北地方の港町で暮らす30代の男性・Aさんは、地元の高校を卒業後、工場勤めを経て、警備会社で働いている。勤めて10年になるが、いまも契約社員だ。会社の規定で定期的に身元保証人を求められてきた。

 これまで保証人を引き受けてくれた伯父が亡くなり、困ったAさんが見つけたのが保証人紹介業のホームページだった。手軽に紹介してくれるといううたい文句にひかれ、Aさんは業者に6万円を支払った。

「月々の手取りは12万円。6万貯めるには、半年や1年はかかります」

 しかし、送られてきたのは、ある男性の名前や住所、勤め先の書かれたメールだけ。会社に提出する身元保証書は送り返されて来ず、登録料も戻らなかったと言う。

「保証人が必要で申し込んだ訳なんだから、ふざけるなって」

 Aさんは顔をゆがめ、声を荒げた。

 なぜ、身元保証書は返って来なかったのか。Aさんに送られたメールに書かれていたのは、群馬県に住む、50代の男性・Bさんだった。訪ねて行った取材班に対し、思いがけないことを口にした。

 「2年前、報酬目当てに、保証人をやってみようと業者のホームページを通じて個人情報を送りました。でもすぐに“これは危険じゃないかな”と思い直して、途中で申し込みをキャンセルしたんですよ」

 保証人として業者に登録もしていなければ、Aさんの保証人になることを承諾してもいないというのだ。

 「これじゃあ、個人情報の悪用じゃないですか!」

時代が求めた必要悪? <br />貧困層を食い物にする「保証人ビジネス」の闇を追う結局、身元保証書ももらえず、登録料だけ取られたAさん(写真左)。そのAさん保証人候補として、個人情報を勝手に利用されたBさん(写真右)。