突然ひらめいたように思えるアイデアでさえ、一定のプロセスを経て思い至っているものです。そのプロセスには5つのステップが存在し、意識してたどることで、意図的にアイデアを発想しやすい環境を作ることが可能なのです。
思考法から発想術、文章術、読書術、プレゼン術、図解術、交渉術、成功哲学まで、本当に使える仕事術を1冊に凝縮した新刊『ビジネススキル大全――2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』より抜粋し、紹介していきます。

斬新なアイデアをどうやって手に入れるか?

 アイデアが出てこなくて困っている人が多いのではないでしょうか。私もサラリーマン時代、企画やキャンペーンのアイデアが出てこなくて苦労しました。いくら絞り出しても出てこないのです。「3人寄れば文殊の知恵」といいますが、アイデア会議に数人が集まって話し合ってもちっとも出てきません。斬新なアイデアが降りてきたらいいのになぁと思ったものです。

 独立してからは、あらゆる局面でアイデア捻出の必要性に迫られました。原稿の執筆に始まり、講演のネタ、会社を立ち上げてからは、事業計画やマーケティングなど。アイデアが浮かんでこなければ原稿ひとつ書けません。締め切りが迫ってくるのに、アイデアがひとつも浮かんでこないときは焦って頭をかきむしりたくなるものです。

 そこで、ふと浮かんできた疑問があります。芸術や広告などの世界のクリエイターたちはどうやってアイデアを生み出しているのだろう?テレビCMを見ても「いったいどういう発想でこんなものが作れるんだろう?」と感心することがあります。彼らのアイデアの源泉は何なのか、興味がありました。

 そんなとき、『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング)という本を紹介されたのです。この本を読んだときの正直な感想は、「へえ、こんなんでいいんだ」でした。そうなんです。あまりにも簡単なことだったのでビックリしました。

 アイデアを生み出すための手順が示してあるのですが、それはシンプルなものです。実際、この手順に従えば、斬新なアイデアが、工場で車が作られるように自動的に作られていくのです。

「クリエイターたちは、こんな方法で斬新なアイデアを手に入れていたんだ」

 この手順を知ってから私は、アイデアを生み出すことがずいぶん楽になりました。