サークルKサンクスがファミマとの統合前に大量閉鎖の裏事情9月以降、サークルKサンクスの店舗のファミリーマートへの看板替えも始まる  Photo by Hiroyuki Oya

 “結婚”前の身辺整理が完了──。9月1日にファミリーマートと経営統合する流通大手のユニーグループ・ホールディングス(GHD)が、不採算店に大ナタを振るった。

 傘下のコンビニエンスストア、サークルKサンクス(CKS)約6250店のうち約1000店を、店舗移転も含めて2019年2月期末までに閉鎖すると8月9日に発表。また、現在216店ある総合スーパー(GMS)も、19年2月期末までに約25店を閉鎖する。

 ユニーGHDは、該当するCKSの店舗の詳細を明らかにしていないが、対象となるのは経営統合でファミマという新ブランドに転換しても、収益改善が難しいと判断された店舗だとしている。

 ただ、CKSはここ数年にわたり、移転も含め毎年350店程度を閉鎖しており、「2年半で1000店の閉鎖は驚くようなペースではない」(ユニーGHD)。

 ファミマが10年にam/pmと統合した際には、約1100店あったam/pmの店舗のうち、約3割に当たる約370店が閉鎖されている。このときと比べれば、今回発表された閉鎖店舗の割合は小さく、「経営統合しても、店舗数は減らさない」と強調してきた、統合新会社で社長に就任するファミマの上田準二会長の意向が反映された格好だ。

GMSに残る赤字店舗

 ユニーGHDは今回のリストラに伴い、店舗の減損など総額720億円の特別損失と棚卸し資産評価損を、17年2月期上半期決算に計上する。ただし、CKSに関連するものは約80億円で、大半はGMSに起因する損失である。

 このうち閉店する約25店の閉鎖に伴う費用や固定資産の減損は120億円程度。それを除いた430億円は、今回閉鎖対象とはならなかったものの売り上げや利益などの営業計画を下回る店舗の固定資産の減損に伴うものだ。

 新規出店や改装など、直近2年の投資分が主だといい、「今のうちに減損しておけば、減価償却費などの固定費が減り、統合後にGMS事業の利益が出やすくなる」とユニーGHDの幹部は語る。

 ここ2年のGMSの取り組みが失敗だったと半ば認めたユニーGHDだが、衣料品や住宅関連用品の売り場の圧縮や、食品の総菜部門の強化などの改革のため、今後3年で総額150億円を投じて75店を改装する計画だ。

 つまりユニーGHDには、統合前に先手を打ってリストラ案を示すことで、祖業のGMS事業については統合新会社での主導権を握り、口を出されたくないという思惑があるのだ。

 だが、今回閉鎖対象とならなかったGMSの中にも「赤字の店は残っている」(前出の幹部)という。こうした店舗も含めて“結果”を出さなければ、新会社でのさらなるリストラも避けられなくなりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)