中南米
2018年3月9日 風間真治

ハイパーインフレで物々交換経済状態のベネズエラ。
国主導で仮想通貨を発行した現状をレポート【前編】

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カリブ海に浮かぶ小国・ドミニカ共和国に住み、中南米の新興国を舞台に貿易事業を展開する風間真治さん。今回は、深刻な経済危機下で国主導で仮想通貨「ペテロ」を発行したベネズエラで活動する日本人、本間敬人さんとの対談です。

経済危機に見舞われたベネズエラで何が起こっているか

 南米北部にあるベネズエラは現在、経済危機によって深刻なハイパーインフレに見舞われており、Bloombergの指数によると、年率換算で44万8025%という驚異的な上昇率を見せています。

ベネズエラの通貨ボリバル紙幣。ここにある3000BFs(ボリバル・フエルテ)で、日本円換算だと1円いかないぐらい【撮影/本間敬人】

 このような厳しい状況下で、ベネズエラのマドゥロ政権はついに、国として独自の暗号通貨「ペトロPETRO」をICO(INITIAL COIN OFFERING)にて発行しました。ICOとは、新規株式の公開によって資金調達するように、仮想通貨を発行して広く資金を募る資金調達手段のひとつです。

 国家が暗号通貨をICOで発行して資金調達をするのは世界で初めてということもあり、ペトロは現在世界中から注目をあびています。しかし、この暗号通貨が、混迷を極めるベネズエラ経済の救世主となるかどうかについては、未だに有識者の中でも、様々な見方があるのが現状です。

 私も何度か、ベネズエラに行ったことがあるのですが、日本で報道されている、ベネズエラの暴動や経済危機による貧困、強盗などの犯罪は、ベエズエラで起きていることのほんの一部にすぎません。なにかの機会に、実際に今現在のベネズエラで起きていることを、なるべくリアルに、地球の裏側にいる日本の方たちに伝えられれば、と思っていました。

 そんななか、今回、仕事の関係で毎年ベネズエラに渡航しており、また渡航の都度、長期滞在してベネズエラコミュニティにも深く入り込んでいる日本人男性、本間敬人さんに、生のベネズエラ経済と通貨事情などを詳しく聞くことができましたので、ご紹介したいと思います。

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風間:早速ですが、ベネズエラという日本とは地球の真反対の国に行くようになったきっかけを、簡単な自己紹介も兼ねて教えていただけますか。

本間:高校卒業後、アメリカの大学に進みまして、そこを卒業後に、フィラデルフィア・フィリーズに雇っていただいて、運よく仕事をすることができたんです。そこで仕事をしていた時に、自分の運命を変える出会いがありました。それが当時、メジャーリーグで最優秀防御率などをとったりと、一流投手として活躍していたベネズエラ人のフレディ・ガルシアとの出会いです。

彼と知り合って仲よくなり、2007年にベネズエラのウィンターリーグを紹介してもらいました。その時に彼のつてでベネズエラを訪問したのがきっかけで、その後はほぼ毎年のように、冬の時期にはウィンターリーグがあるベネズエラに渡り、球団で仕事をするようになりました。もう、ベネズエラとのつながりは10年以上になりますね。

冬のベネズエラでの野球シーズンが終われば、その後はまた世界中をブラブラと移動しながら、ノマドのような生活をしています。

風間:少し動画で見させてもらいましたが、去年のベネズエラのウィンターリーグの開幕戦では、国を代表して国家斉唱をスペイン語で歌っていましたよね。開幕戦で、ベネズエラ人でない本間さんが国家斉唱を歌うのだけでもすごいことですが、スペイン語で歌うというのがまた突き抜けていますね。しかもスタンディングオベーションもあり、大変な反響だったようで。

本間:そうですね。ベネズエラの人たちには大変よくしてもらっていて思い出も多いです。日本を出て18年となりますし、今となってはベネズエラは自分の国のようなものですね。それだけに、私の大好きなベネズエラがハイパーインフレにみまわれ、経済危機になり、国民が苦しんでいるという現状は本当に残念でなりません。