中南米
2018年6月22日 風間真治

W杯サッカーの対戦国として注目されたコロンビア
大統領交代で高まる仮想通貨への期待

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カリブ海に浮かぶ小国・ドミニカ共和国に住み、中南米の新興国を舞台に貿易事業を展開する風間真治さん。今回は、サッカーワールドカップの初戦対戦国として、日本でも話題のコロンビアについてのレポートです。

テロ組織との和平合意の行方は?

 最初に、サッカーワールドカップの対戦国として以外、日本ではあまり知られていない南米の大国コロンビアについて、紹介してみましょう。
 
 コロンビアでは、6月17日、サントス大統領の任期満了に伴う大統領選の決選投票が行なわれ、ここ数日は、中南米の多くの新聞やニュースがその政治動向について繰り返し報道していました。
 
 サントス氏は、コロンビアで長年問題になっていた反政府左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」と地道な交渉を続けた末、2016年に和平合意にまで持ち込み、これによってノーベル平和賞を受賞した人物です。その結果、50年に及ぶコロンビア内戦がようやく終結すると、世界中から期待が高まっていました。

 ところが、今回の大統領選で勝利したイバン・ドゥケ前上院議員は、左派と呼ばれるサントス氏とは異なり、ゲリラ組織との和平合意の見直しを主張してきました。これが、和平合意に不満を持つコロンビア国民に支持され当選につながったという経緯があり、今後、和平合意が差し戻されることは間違いありません。
 
 私の個人的な経験ですが、2016年にコロビンアのETF、 グローバルX MSCI コロンビア(ティッカーシンボルGXG)を購入したことがあります。当時、資源価格は世界的に大幅な下落を迎えており、コロンビアをはじめ多くの資源国のETFが最安値で買えるチャンスだったというのがひとつの理由ですが、もう一つの大きな理由が、サントス大統領によるゲリラ組織との和平合意でした。
 
 コロンビアの内戦が終結するとともに、コロンビアに大きな投資チャンスが生まれるのではと期待したからですが、今後、新大統領の動き次第では、私自身も投資ポジションを変えていくことになりそうです。ただ、内戦で多くの犠牲者を出してきた歴史的経緯の中で、少しでも和平交渉がうまくいくことを祈りたいです。
 
 コロンビアの人口は約5000万人。中南米ではブラジル、メキシコに次いで第3位です。石炭、石油、天然ガスが産出される資源国ですが、エメラルドをはじめ、金、白金、ニッケル、銀、鉛など世界的にも有数の鉱物産地でもあり、エメラルド産出量が世界市場の8割を占めることはあまりにも有名です。
 
 2000年代のコロンビアの株式市場は大変好調で、2008年の世界経済危機なども乗り越えながら、世界の株式市場でも上位レベルの成長を遂げています。

コロンビアの証券取引所BVC (BOLSA DE VALORES DE COLOMBIA)【撮影/風間真治】
証券取引所のエントランス【撮影/風間真治】

 また近年は観光事業にもかなり力を入れています。北のカリブ海に位置する都市カルタヘナは一年中温暖な気候なため、北米や中南米から多くの人が訪れる一大リゾート地です。また、首都のボゴタから飛行機で1時間のメデジンという町も多くの観光客が訪れています。
 
 メデジンは近年、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などで「世界の革新的な町のひとつ」として取り上げられ、多くのアーティストや建築家が訪れるようになっています。コロンビアのメデジンというと、20年前まではマフィアが幅をきかす治安の悪い町として有名でしたが、近年は都市政策としてコンパクトシティ化(郊外化を抑制して徒歩生活圏での充足化を促進する政策)を掲げており、ストリートにシェアできる自転車などを設置したり、町全体がアートな雰囲気を漂わせる近代都市へと変わりつつあります。
 
 治安の面では昨年、邦人が襲われた事件もあり、まだまだ課題が残りますが、それでも様々な中南米の国を訪れ、強盗事件に巻き込まれた経験もある私から見ると、以前に比べて状況はかなり改善されつつある印象です。
 
 ただ繰り返しになりますが、それはあくまで“他の中南米の国と比較して”ということであり、日本の感覚の「安全」とは違います。コロンビア国内では、どんな場所でも必ず強盗がひそんでいるという認識の元で、行動することが重要となる旨をお伝えしておきたいと思います。