中南米
2018年6月22日 風間真治

W杯サッカーの対戦国として注目されたコロンビア
大統領交代で高まる仮想通貨への期待

外貨規制はかなり強い

 このようにポテンシャルの高いコロンビアですが、金融に関しては規制がとても多い国であるのも事実です。実際にコロンビアに投資を始めてみると、投資家や事業家にとって、投資環境はまだ難しい面があるなと感じます。その理由は、外貨について過度の規制をしいている点で、コロンビアでは銀行はもちろん、証券会社でも、コロンビア国内の外国人ビザないと、外国人が口座を開くことができません。
 
 また、仮に外国人ビザを取得できたとしても、米ドルやユーロなどの外貨口座を持つことができず、口座は現地通貨であるコロンビアペソのみに限られます。これはコロンビア国民であっても同じで、厳しい外貨規制の統制下に置かれている印象でした。
 
 さらに、コロンビア国内では、米ドルなどを銀行に持ち込んでも、コロンビアペソに両替してくれません。コロンビア政府から許可を得ている両替商を訪ねて、両替してもらう必要があるのです。コロンビアは中南米の国の中では為替制限がとても強い国のひとつで、金融の自由取引ができないためです。
 
 国内のコロンビア人が、商用目的でも私用目的でも、海外に米ドルを持ち出したい場合は、これらの両替商を使って、コロンビアペソを米ドルに交換して持ちださなければなりません。また事業用の海外送金は、銀行に事業用途や会社の登記簿を提出、売上票の持参など、細かい申請をしたうえでようやく可能となるそうです。これは南米の通常の海外送金と比較しても、かなり要求されるものが多いという印象です。
 
 また、海外に住んでいるコロンビア人が自国に送金するのもとても不便です。私が住んでいる中南米のドミニカ共和国にいるコロンビア人に、どのように本国に送金をしているのか聞いてみましたが、銀行から送金はできず、ウェスタンユニオンを使用しているとのこと。しかも、送金手数料は8%と、かなり高額な手数料を支払っているようです。

首都ボゴタにある銀行BANDO DA VIVIENDA。ドルの両替をしに来ましたが、ここではできません【撮影/風間真治】

 

金融に国境は存在するか

 ベルリンの壁が崩壊した後の21世紀、インターネットの登場とともに世界はよりフラットに、人、物、金融が国境を超えてボーダレスにつながり始めた時代といわれています。その中で、最初に国境を超えて行き来するようになったのが、金融の世界です。

 たとえば、「オフショア」と呼ばれる国や地域の投資商品は、一部の特権階級だけがアクセスできるものではなく、一般の人が訪ねて行けば口座開設も可能だし、数万円で金融商品が買えます。そしてそれらの売買をメールで依頼したり、インターネット上で自分の資産を管理することが、個人でも普通にできるようになっていったのです。もちろんもっとハードルが低いやり方として、米国の証券取引所に口座を開設して、世界中の金融商品にインターネット上でアクセスするという方法もあります。
 
 ところが、今の世界の動きは私が見るかぎり、このボーダレスの金融の世界から逆行しており、目に見えない「国境」が生まれつつあるように思えます。

 目に見えない「国境」の一つは金融商品に対する投資です。今、世界の金融市場では、米国、中米、南米、欧州、東アジアなどエリアごとに国境が生まれつつあります。たとえば日本に居住しながら香港や上海の金融機関で投資用の口座を開設したとします。そこで投資商品を購入しようとしても、その多くは香港や上海を中心とした東アジアの商品で、欧州や中東、アフリカ、中南米などの商品にはアクセスできない場合がほとんどかと思います。
 
 私が住む中南米、各国の証券取引所や投資会社を経由して金融商品を購入する場合も、中南米の商品が多く、逆に中東やアフリカ、アジアの投資商品へのアクセスは困難な場合がほとんどです。例外的に南米のウルグアイなど、世界中の金融商品にアクセスできる証券会社がある国もありますが、それらはごく少数です。

 もう一つの国境は海外送金です。現在、世界の一部の地域では、コロンビアのように、海外送金においてかなり制限が生まれている国が出てきています。日本にいるとイメージしづらいかもしれませんが、「国境を超えてお金が移動することが自由ではない国」というのは結構多いのです。
 
 中南米の地域は、国によってその理由は様々ですが、お金が国境を超えることにとても労力が必要な国がいくつかあります。コロンビアは先述のように、為替の制限が特に強い国の一つで、海外に住んでいる家族が自国にいる家族を助けようとして海外送金するのですら簡単にはいきません。

 そこで、コロンビアでは最近になって、この為替制限の問題をクリアしたい人たちのために、仮想通貨の経済圏が少しずつ生まれてきています。

ボゴタで行なわれた仮想通貨のミートアップ、ボゴタに住む様々な国籍の人たち参加して議論をするというかなりボーダーフリーな場所でした【撮影/風間真治】