橘玲の世界投資見聞録
2019年5月23日 橘玲

エチオピアを観光するなら「公認ガイド制度」を活用して
ぜんぶ任せておくと快適な旅行ができる!
【橘玲の世界投資見聞録】

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 改元にともなう「10連休」を利用してエチオピアとルワンダを訪れた。いずれもとても興味深い体験になったが、とりあえずは旅の経緯をざっと紹介しておこう。これから旅行しようと考えているひとにも役に立つはずだ。

首都アジスアベバのボレ国際空港の手荷物受取場は大混雑

 成田からエチオピアの首都アディスアベバにはエチオピア航空のバンコクや香港経由便があるが、乗り換えを含めて18時間ほどかかる。今回はドバイで1泊したが、旅の第一印象は「遠い」だ。

 下の写真はようやくたどり着いたアディスアベバのボレ国際空港。2019年1月27日に中国の援助で国際線専用のターミナル2が開業した。入国にはビザが必要だが、空港でかんたんに取得できる。

アディスアベバのボレ国際空港。手荷物受取場は大混雑        (Photo:@Alt Invest Com)

 

 ご覧のようにターミナルの手荷物受取場は大混雑だが、たまたま機上で知り合ったアディスアベバ在住の日本人によると、1時間程度で出られればいい方で、手荷物を受け取って空港を出るまで2時間以上かかることもあるようだ。

 海外に出稼ぎに行って一時帰国するエチオピア人が大量の荷物を持ち込むためで、ベルトコンベアを大型液晶テレビなどが次々と流れてくる。関税の関係で、家電製品は海外で購入した方が安いようだ。

 空港を出るとタクシー会社のベストを着た呼び込みがいるので、黄色の政府系タクシーに案内してもらう。空港から市内のホテルへは300ブル(約1200円)。それ以外に青色のタクシーもあり、これは個人営業で古い車両が多い。料金は交渉次第で、地元のひとであれば政府系タクシーより安いが、旅行者だとふっかけられることもあるようだ。

 エチオピアでも近年はタクシーアプリが普及し、現地在住の外国人はアプリでタクシーを呼ぶようだが、今回は使ってみる機会はなかった。

青色の車が個人タクシー         (Photo:@Alt Invest Com)

 

エチオピアは深い崖によって隔てられた80以上の民族集団が共存する多民族国家

 エチオピアはアフリカ大陸を南北に縦断する大地溝帯(グレート・リフト・バレー)に位置し、紅海とアデン湾によってアフリカとアラビア半島に分かれる。約1000~500万年前にマントル対流が大地溝帯周辺の地殻を押し上げ、アディスアベバのあるエチオピア中部から北部にかけては標高2000メートルを超える高地になった。ローマ(1960年)と東京(1964年)のオリンピックのマラソン競技で2大会連続優勝を果たしたアベベ・ビキラが有名だが、エチオピアが優れた長距離ランナーを輩出するのは心肺機能が高地に適応したためだ。

 エチオピア高原は降水量が多く、平均気温も16度と冷涼で、ナイル川(青ナイル)の水源となるタナ湖など豊富な水資源を擁している。それにもかかわらず歴史上、たびたび旱魃の被害を受けてきたことから、「誰がエチオピアの水を奪っているのか?」が問われることもある。

 だが飛行機から地上を見ると、この謎はすぐに解ける。下はアディスアベバ近郊だが、地表の浸食が激しいため、切り立った崖と崖のあいだにわずかに平らな台地が残っている様子がわかる。

アディスアベバ近郊の地形。切り立った崖の合間にわずかに台地が残っている    (Photo:@Alt Invest Com)

 こちらは北部の都市ラリベラ近郊で、広い平地に街がつくられているが、主要道路からすこし行くとたちまち険しい崖に突き当たる。こうした地形では、隣の台地に水源があったとしても、その水を引いてくることができない。この物理的制約によって、豊富な水資源がありながらもしばしば水不足に悩まされるのだ。

ラリベラ近郊。主要道路からすこし行くとたちまち険しい崖に突き当たる  (Photo:@Alt Invest Com)


  エチオピアは80以上の民族集団が共存する多民族国家で、公用語のアムハラ語以外に州ごとの公用語や少数民族の言語なども話されている。このような民族・言語の分化も特異な地形から説明できるだろう。直線距離では近くても深い崖によって隔てられ互いの交流がなければ、やがて異なる言葉を話すようになるのだ。