橘玲の世界投資見聞録
2012年8月30日 橘玲

[橘玲の世界投資見聞録]
”ケルトの虎”アイルランドが
国家的危機に頼ったのは「愛国心」だった

 アイルランドの苦難の歴史は、独立戦争とその後の内戦を描いた映画『麦の穂をゆらす風』(ケン・ローチ監督/カンヌ国際映画祭パルム・ドール)や、飢饉を逃れて西部開拓時代のアメリカに渡ったアイルランド移民の物語『遥かなる大地へ』(トム・クルーズ/ニコール・キッドマン主演)くらいしか知らないのだが、そんな私でも、ひとたびダブリンに足を踏み入れればアイルランドの国民性はすぐにわかる。ダブリン市内は、どこもかしこもアイルランド国旗で溢れているのだ。

 アイルランド人は、みんな愛国者だ。なぜそう言い切れるかというと、下の写真を見てほしい。祝祭日でもなんでもない日の、ダブリン市内のごくふつうのマンションを撮ったスナップ。こんな光景、日本で想像できますか?

ダブリン市街のごくふつうのマンション。祝祭日ではありません (Photo:©Alt Invest Com)

 アイルランドがイングランドのくびきを脱し、晴れて主権国家になったのは1931年。祖父や曽祖父が銃を手に取って戦った独立戦争からまだ100年に満たない、若い国なのだ。

 そんな愛国者ばかりの国でバブルが発生すると、いったい何が起きるのだろうか?