新興国投資
2012年9月19日 松岡譲

カンボジア株、初のIPOから5カ月
続々と予定される今後の上場企業とは?

市場規模はGDPのたった1%

 さて、そうはいうものの、いつまでも鳴かず飛ばずのマーケットでは困ります。低調なカンボジア株に勢いを取り戻すには、何が必要なのでしょうか。

 現在、上場しているのがプノンペン水道公社1社だけですので、カンボジア証券取引所の市場時価総額は、同社の時価総額と同じです。その時価総額は約5479億リエル(約106億円)です。これにはカンボジア財務省が保有する85%の株式も含まれます。カンボジアのGDPは128億8000万ドル(約1兆円、2011年、世銀)ですので、市場時価総額を国のGDPで割った比率は1.07%と計算されます。この数値は、国によって株式市場がどれだけ発展しているのかを測るのによく用いられます。

 となりのベトナムの場合、ホーチミンとハノイの2市場を合計すると市場時価総額は2兆6800億円(9月7日)あり、GDPは約9兆6720億円です。市場時価総額/GDP比率は27.7%となります。同様にタイの場合、市場時価総額26兆362億円に対してGDPが26兆9578億円ですので、同比率は100%となります。一般論として、経済が成長につれて株式市場の時価総額は増加します。こうしてみると、カンボジア市場の「1.07%」は、まさに同市場が胎動期にあることを示しています。

プノンペンでは土地バブルも!
カンボジア富裕層が株を買う日

 現在、カンボジア証券取引所の売買の30%は外国人投資家が取引しています。とくに中国人投資家が活発に取引していると言われています。プノンペン水道公社のIPOのとき、大量の買い注文を出したのも中国人投資家であり、いまも増え続けている外国人投資家の多くは中国人投資家です。

 一方、これまでエマージング投資の旗振り役であった先進国の投機筋やファンド筋は、いまや欧州債務不安で青息吐息。エマージング投資の世界地図も、最近の金融不安によって少し変わったものになってきたのかも知れません。

 ここで、われわれがカンボジア株を買い上がってくれる投資家として、本当に期待しているのは外国人投資家ではなく、カンボジア人投資家だと言うと、意外に思われるでしょうか。カンボジア人はお金がないんでしょ?と言われそうです。たしかに一人当たりGDPは920ドル程度なので、大半のカンボジア人にとっては株式市場に投資する余裕はないかも知れません。ただ、どんな国にも例外的にお金持ちの富裕層はいるものです。

 プノンペン市内を走る自動車の台数が年々急増しているのは、経済が成長しているからです。そこには必ず「勝ち組」が存在します。ただ、カンボジア人の富裕層にとっての投資は、株よりも土地が優先します。未経験の株より、土地や不動産の売買の方がよほど身近な投資手段なのです。

まだ主流はバイクだが、高級外国車の数も年々増えている (撮影/和田佳久)

 カンボジアの法律はカンボジア人およびカンボジア法人に、土地の私的所有および適正な売買取引を認めています。こうした法的背景に加え、縫製業を中心とした外国投資流入により不動産需要が増えたことなどにより、過去、カンボジアの不動産は値上がりしてきました。

高層マンションの建設が進む、プノンペンの新興住宅地 (撮影/和田佳久)

 2000年には1平方メートル当たり500ドルもしなかったプノンペン市内の土地価格は、現在は概ね3000ドル以上すると推定されます(繁華街など一等地では5000ドル以上の場合もあります)。最近は韓国人主導の土地バブルもありました。2007年から2008年第2四半期という短期間に、プノンペン市内の土地は2倍以上に沸騰しました。

 もちろん、こうした投資家も現在カンボジアの株を強気でばんばん買い上がるという姿勢ではありません。どちらかというと、安くなったところ(プノンペン水道公社のIPO売出価格の6300リエル)を買い仕込んでいるようにも見えます。