中国
2013年3月27日 上田尾一憲

人生が変わった! 神様「邱永漢」との出会い

 当日は、失礼がないようきっちりとした挨拶を考え、待ち合わせ時間の3時間前からホテルで待っていました。

 やがてホテルの玄関に大型バスが止まり、一人の老人がゆっくりと降りてきました。写真で見たあの“お金儲けの神様”邱永漢先生です。すぐに挨拶をと思い、先生の前に立って握手をした瞬間、緊張のあまり用意していた挨拶もすべて忘れ、「上田尾です……」とボソっと名前を言っただけの最悪な第一印象になってしまいました。

 邱先生は、「君がメールをくれた人? なんでこんな所にいるの? この長沙はヤクザと乞食の町ですよ」と笑いながら私の緊張を解いてくれました。

 その後、投資考察団の方たちと長沙での2日間を御一緒させてもらうことになりました。その最後の夜、邱先生に誘われてホテルのバーでジントニックを飲みながら、大学で勉強していることや将来の計画について話をしていました。

 そのとき突然、邱先生から「君、うちで働かないか?」と言われ、私は思わず「わかりました」と即答していました。その時は卒業論文を中国語で(ほとんど友達に手伝ってもらいながら)書いていたのですが、このチャンスを逃したら一生後悔すると思い、卒業を諦め荷物をまとめて北京の邱永漢事務所に駆け込んだのです。

邱永漢の秘書として

 その時から2012年5月16日に邱先生が亡くなるまでの約8年間、私は秘書として毎日一緒に仕事をさせていただきました。仕事といっても、香港に上場している会社を視察したり、普通では会えないような偉い方たちとお話をさせてもらったりと、貴重な体験と勉強をさせていただきました。

 

雲南省保山の邱グループコーヒー農園 

 その他にも寧夏回族自治区での超大規模砂漠農業の開発、雲南省ミャンマー国境付近でのプーアル茶博物館の計画(この2つは最終的には実現しませんでした)や、不動産管理、飲食、化粧品事業などの責任者をさせていただき、どれも小さな会社ではあるものの、会社の立ち上げから清算まで、中国でビジネスをするとはどういうことかを身をもって学ばせていただきました。