橘玲の世界投資見聞録
2013年6月20日 橘玲

道の渡り方からアジアについて考える
[橘玲の世界投資見聞録]

 午前9時頃の通勤時間帯に、深センの中心部のカフェでコーヒーを飲んでいたのだが、そこから見ていると、歩行者のおよそ半分が、車がまったく来ないのに、歩行者用の信号が青に変わるまで待っている。彼らは警察官や交通指導員がいないにもかかわらず、自主的に交通ルールを守っていたのだ。やはりこれまでの中国では考えられない光景で、かなり驚いた。

深センの飲食街は若者たちでたいへんな熱気  (Photo:©Alt Invest Com)

 その後新聞報道で、一部の省で、歩行者用信号を守らない場合にも罰金刑が課せられるようになったことを知った。もっとも違反者の全員を検挙するわけにもいかず、交通指導員が最初に渡りはじめた歩行者を特定して罰金の支払を命ずるのだという。いかにも中国らしい混乱必至の方法だが、それでも交通ルールを守ろうとする歩行者が増えてきたことは間違いない。

 台北も私がはじめて訪れた20年ほど前は歩道をバイクが走り回っていたが、いまではすっかり「先進国標準」の交通ルールになった。いちど出来上がった既得権を打破するのはどんな時でも大変だが、それでもあと何年かしたら、すくなくとも北京や上海、深センなどの大都市では、外国人旅行者も安心して道路を渡れるようになっているかもしれない。

深センのブランド街。ドライバーのマナーもだいぶ向上した  (Photo:©Alt Invest Com)