橘玲の日々刻々
2014年4月7日 橘玲

クリミア問題で考える「対米従属」と「自主」
[橘玲の日々刻々]

 もっとも無難な政治判断は、欧米と歩調を合わせてロシアの制裁に参加することです。これはリスクはありませんが、ロシアとの関係は冷え込むでしょう。

 それとは別に、欧米と距離を置き、ロシアに貸しをつくって北方領土交渉を進めるという政治判断も考えられます。こちらは米国の強い反発を招くでしょうが、領土問題に決着をつけて平和条約を締結できれば歴史に名を残す偉業になるのは間違いありません。

 近頃は日本の外交を「対米従属」と「自主」に分類し、レッテルを貼るのが流行っています。この視点ではロシアへの制裁が「従米」、併合容認が「自主」ということになるでしょう。

 しかしいうまでもなく、このようなレッテル貼りになんの意味もありません。「従米」か「自主」かは政治家個人のイデオロギーではなく、その時々の状況で功利的に決まるからです。

 ウクライナの政治家たちも、「従ロシア」と「自主」の間で複雑なゲームを行なっています。他国の政治は客観的に観察できても、自分の国になると陰謀史観にとらわれる――悲しいけれどこれが人間の性なのでしょう。

『週刊プレイボーイ』2014年3月31発売号に掲載

 

 

<執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

 
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