中国
2014年12月3日 金 伸行

これから10年、中国もアジアも激動する。
そのなかで起業家はなにをなすべきか?【第4回】

中国の賃貸契約リスク、そして日本人の長所

事業を続けるためには会社を倒産させないこと

 中国に代表されるアジアという大海原で航海を続けるには、たくさんの経験値と勇気が必要です。私がここで話しているのは、小中の事業スケールを前提としていますが、経験値を積むにはひとつコツがあります。

 これは私が以前、素晴らしい経営者から直接聞いた話です。

 その日の夜、ある分野で日本で3番目の事業規模で活躍されている、70歳を超えた創業社長と食事をしていました。その日はとってもご気分が良かったようで、戦時中、学徒動員で自分が動員された工場でいかに上司にいじめられたか、その鬼上司を見返すためにどれほど頑張ったかという話をされていました。

 すっかりその方に魅了された私はどうしても聞いてみたくなって、ある質問をしました。

「事業を長く続けるうえでもっとも大切なことはなんですか?」

 すると、しわくちゃの笑顔で私の眼をみて答えてくれました。

「会社を倒産させないことです」

 意外な答でしたが、とても経営者の心に沁み入る答でした。

 話を戻します。中国やアジア諸国で事業をやっていくためにはたくさんの経験と勇気、そして優れたカンが必要です。それらの能力を養うために必要なことは、「倒れない」こと。失敗しても学習を続けられるような準備をしておくことです。

 この意味からも(特にスタート時は)事業規模を思いっきり小さくし、まずは投資を回収するところから始める、ということが大切になるのです。

「アジアで商売をやるなら小さな店を出しなさい。お金をかけてはいけません」

 これが、私が一商売人としてアジア、中国で商売をしてきたひとつの結論です。