タイ
2015年6月5日 沼舘幹夫

早期退職後はタイでのんびり……のつもりが、
前職の顧客の依頼を受けて不動産業をスタート

バンコク起業家訪問ファイル 【第3回】

バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部が、タイの日本人起業家たちを訪問し、その苦労、楽しみ、成功の秘訣を聞いてみた。今回はタイの高級コンドミニアムの販売事業からスタートし、顧客へのサービス精神から店舗物件の取り扱い、コンサルティングとビジネスの幅を広げた北浦洋二さんが登場。不動産仲介業を通して、日本人にタイの住みよさ、魅力も伝えている。

FILE.003
Asian Business Partners (Thailand) Co., Ltd.
北浦洋二さん(代表取締役社長・35)

高級コンドミニアムの売買を日本ベースで

 2014年秋ごろまで、北浦さんは、日本とバンコクを行き来しながら、日本の富裕層向けにタイの高級コンドミニアムの販売事業を行なっていた。バンコクにいるときはスクムビット界隈を自分の足でくまなく歩き、優良な投資物件を見つけると雀のように喜んで投資家に報告する。ソイ(路地)の中をスマートな身なりでワクワクと宝探しをしている姿が浮かぶ。

 投資家に紹介する優良物件は、
1)販売開始日に8割が売れるような超人気物件(完成まで2~3年の、日本でいう青田買い物件)
2)完成前の、デベロッパーの販売価格より安い(何らかの理由があってオーナーが売り急ぐ)リセール物件
 このふたつしか扱わない。

 自分で歩いて物件を見つけ、安い価格で顧客と繋げるためにデベロッパーの社長にも会い、顧客には適正な価格や価格の上昇システムを説明して判断してもらう。だから紹介できるような物件がないときはない。これが北浦さんにとっての顧客側に立った「普通の」不動産仲介業の姿だ。

店舗物件は顧客サービスの延長から

 物件を購入した顧客がタイに居を構え、タイで商売を始める場合がある。そうすると今度は北浦さんに店舗の情報を求める。そのため今では優良な高級コンドミニアムを探しながら、電柱に貼ってある手書きのタイ語看板をも見逃さずに歩くようになった。

 こうして目を肥やしていると不動産の適正価格に敏感になる。不動産購入や賃貸は生活やビジネスの入口だ。北浦さんは、入口で顧客がつまずかないように不動産に限定したコンサルタントも引き受けることになる。日本語フリーペーパーの掲示板に掲載された日本食レストランの居抜きの料金を英語のサイトで調べると、その半額だったという例もあったそうだ。

「タイの駐在員の奥様方に賃貸紹介や住まいで困っていることをヒアリングしたところ多くの不満があることがわかりました。急がば回れで真っ当に、お客様を満足させられるよう、ファンが増えていくよう頑張りたいと思います」【撮影/『DACO』編集部】