タイ
2016年3月8日 沼舘幹夫

これがタイ人日本旅行の実態だ!【後編】

タイ人が見た日本が浮かび上がる「訪日動向アンケート」から

タイ人が日本で出合った心揺すぶられた思い出

 今回実施したアンケートでは、日本旅行での心温まるエピソードも披露してもらいました。日本で心を震わせてきた2人のタイ人の思い出話を紹介します。

Episode1「やさし過ぎるおじさんとの出会い、一生の宝物」(スラットさん)

●宿のオーナーは、タイ語が話せる日本人

 私たちが初めて日本に行ったのは、2014年の10月です。東京に10泊11日で行きました。親子3人での旅で、気に入ったホテルが見つからなかったこともあり、Airbnbで見つけたアパートに決めました。

 初日、私たちはアパートに着くと、宿の方に挨拶をしに行きました。その人は年配のおじさんだったのですが、私たちがタイ人だと知ると、そのおじさんは勢いよく話し出しました。しかも、タイ語で! とても流暢にタイ語を話していたので、聞くと、おじさんは若い時にタイに働きに来ていたということでした。

 荷物を整理し終わって、遊びに出かけようとしたところ、おじさんが小さな地図を持って私たちを待っていてくれました。手描きの地図を見せながら、コンビニはどこにあって、どの店が安くて、どの店が高いかを丁寧に説明してくれました。

 地図にはおじさんの名前と電話番号が書かれており、道に迷ったり、困ったことがあればいつでも電話しなさいと言ってくれました。私たち、親子3人は言葉に詰まってしまいました。このおじさんはなんてやさしいんだ! と。

●おじさんのやさしさに言葉を失う

 出かけた帰り、お礼の気持ちを込めておじさんにタイヤキを買って渡しました。おじさんは受け取ると「もう遅いから早く部屋に戻りなさい」と言っていたのですが、15分後、部屋におじさんがやってきて、にっこり笑いながら、果物がいっぱい入ったかごをくれました。みかん、柿、りんご、ぶどうが盛りだくさんです。とてもびっくりしました。私たちがあげたタイヤキよりも全然高価なんですもん!

 3日目に私たちは、日光に観光に行きました。その日のうちに全部を見て回ることができなかったので、日光で泊まることに。アパートに戻ると、おじさんが私たちを待っていました。私たちの顔を見ると「どこに行って来たの? 昨日は一度も顔を見なかったけど、問題が起きたかと心配してた」と言ったのでした。私たちは、またまた言葉を失ってしまいました。会って間もない私たちに、ここまで心配してくれるなんて! と。

 私たちはおじさんの宿で6泊しました。最後の2日間、おじさんはアパートにいないようでした。私たちは、次の宿に移る前にマーマー・トムヤム味と、私たちのメールアドレスを書いた紙をドアのところにぶら下げてきました。

 その後、2日ほどして、おじさんからメールが来ました。「田舎に帰っていて、お別れを言えなかったのが残念だ」と。私たちがタイに戻ってからもおじさんとの交流は続きました。LINEでずっとやりとりしていたのです。

 話は続きます。