タイ
2016年3月8日 沼舘幹夫

これがタイ人日本旅行の実態だ!【後編】

タイ人が見た日本が浮かび上がる「訪日動向アンケート」から

●2度目は、サプライズ訪日

 今年の7月、今度は夫婦で東京に遊びに行きました。おじさんのために象のイラストのあるTシャツを買っていきました。サプライズのつもりで、事前におじさんに行くことは伝えていませんでした。

 おじさんのアパートに着くと、ドアが閉まっています。鍵が閉まっていたのでおじさんはいないのか、と残念に思いましたが、試しにドアをノックすると、おじさんが出てきました。

 私たちを見ると、今度はおじさんが言葉を失っていました(笑)。「夢じゃないよね」とおじさんはびっくりしています。夢ではありませんよー。「この前LINEしたときに、なんで言わなかったの?」と。

 その日の夜、おじさんは私たちをお寿司屋さんに連れて行ってくれました。日本人しかいないお店で、メニューには英語もありません。おじさんがいなければ、到底行けないお店でした。

 次の日、おじさんは私たちを河口湖まで連れて行ってくれました。お寿司屋さんで前回の訪日時に、曇っていて富士山を見られなかったと話していたからです。

 最初は電車に乗って行くと思っていたのですが、おじさんはベンツに乗って迎えに来てくれました。

 しかしながら、この日も河口湖は曇りで富士山は見られませんでした。でも、おじさんは元気よく、「大丈夫! 富士山に登りに行こう!」と言ってくれました。そして富士山五合目まで運転して行ってくれたのです。寒いかもしれないから、と家から毛布まで持って! 私はうれしくて涙が出そうになってしまいました。

 その後もおじさんは、いろんなところに案内してくれたのですが、その先々で私たちが料金を支払おうとしても、お金を受け取ろうとはしませんでした。駅で別れるとき、私たちは何度も何度もおじぎをして別れました。それ以外にどうやって感謝の気持ちを伝えたらよいのか分からなかったのです。

 電車に乗りながら、目から涙が止まりませんでした。大げさかもしれませんが、ほんとのことなんです。

 そして、今に至るまで、私たちとおじさんの交流は続いています。季節の折々にお便りを出し、写真を送りあっています。初めての日本でのとてもすばらしい出会い。私たちの一生の宝物です。

河口湖と富士山【撮影/『DACO』編集部】

Episode2彼女の笑顔が忘れられない」(ジアムジットさん)

 日本での一番の思い出。とてもうれしかった。とても感動した。今、思い出しても心が温まる、そんな話。日本人の思いやり、誠実さを身に沁みて実感した出来事だ。今もまだ、彼女の笑顔が僕の頭から離れない。100円ショップのレジのおばちゃん。

 日本旅行の初日、僕は、なんと10万円以上入った財布を浅草エキミセ内の100円ショップに忘れてきてしまった。気付いた頃にはすでに店を出てから数時間が経過していて、夜の8時になっていた。本当に心臓が止まるかと思った。

 急いで戻ってみると、幸運にも店はまだ閉まっていなかった。そして、さらに幸運なことに同じおばちゃんがレジにいた。彼女はちゃんと僕のことを覚えていて、にっこり笑って財布を返してくれたんだ。自分の懐に入れることもできたのに……。

 僕は、何度も何度も「ありがとう」と言った。でも、それだけでは治まらないほど感謝の気持ちでいっぱいだった。日本人の誠実さにとても感動した。僕は自分では、注意深い方だと思っていたのだけれど、以降はもっと気をつけるよう、気を引き締めなおした。

(取材・文・写真/『DACO』編集部)

『DACO』とは?:バンコクで月2回発行される無料の情報誌。発行人の沼舘幹夫編集長は25年以上前に日本の通信社からニュースを仕入れ、在タイ日本人に伝えるために駐在員として来タイした。