フィリピン
2016年4月12日 志賀和民

フィリピンでビジネスしたい人必読!
ネガティブリスト(外国人株式保有比率の制限)の現状は?

フィリピンで実施されている、事業における外国資本比率に関する規制(ネガティブリスト)は、現在どうなっているのか。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する、フィリピン在住19年の志賀さんがレポートします。

 フィリピンでは事業における外国資本比率にさまざまな規制が行なわれている。今回は、日本からフィリピン進出を考えている企業やビジネスパーソンのためにそのポイントをかんたんにまとめてみよう。

複雑な外資規制がトラブルを生む

 2015年5月に行なわれた改定で、これまで外国人に許されていなかった、エンジニアリング、医療、会計、建築家、教育、農業などの分野がネガティブリスト(外国資本の投資が規制・禁止される業種リスト)からはずされた。

 一般的な職業としては弁護士のみが、外国人の参入が許されない職業となる。ただしこれらの緩和策は、該当する外国人の本国においても、フィリピン人に対して同等の職業に従事することが許容されている場合に限られる。

 なお、レストランなどの小売業は相変わらず外国人を締め出している。また土地の所有についても現状維持で、外国人個人は所有できないが、外国人が40%の株式を保有する株式会社は土地の保有が認めれている。

 この改定により、今後、多くの外国人専門家がフィリピンで活躍することになると思われる。これまではフィリピンの豊富で安価な労働力を求めて、輸出向けの生産基地として外資が進出するのがパターンだった。これからはフィリピンを市場としてエンジニアリング、医療、会計、教育分野などに進出する土壌が整った。

 フィリピンでは、外国人/外国法人による会社株式保有の比率の上限を定め(Executive Order No. 584)、外国人のビジネス参入あるいは就労を制限している。これに違反した会社は証券取引委員会SEC(Security Exchange Commission) により設立を認可されず、個人に対しては労働雇用省DOLE(Department of Labor and Employment)による労働許可証AEP(Alien Employment Permit)が発行されない。

 これらの制限は、ビジネスあるいは就労においてフィリピン人を優先保護するものとして当然の措置であろうが、経済発展の妨げにもなっている。さらに、フィリピンでのビジネスあるいは就労をややこしいものとし、ダミーの使用によるトラブル発生の元ともなっている。

「60:40」の比率

 いわゆるネガティブリストのうち、日本人に関係するものを詳しく見てみよう。

 まずは「リストA  憲法により外国人の保有が制限されている職種」。

●払込資本金が250万ドル(3億円)以下の小売業
 資本金3億円を超えるような大手デパートなどを除く小売業への参入は許されていない。レストラン、小売店など小さなビジネスはフィリピン人に限定され、会社組織にしたとしても100%フィリピン人に保有され、役員として経営に参加することもできない。通常、これらのスモールビジネスはフィリピン人による個人経営で、SECの代わりに貿易工業省DTI(Department of Trade and Industries)に届けるだけで営業できる。日本レストランやカラオケはほとんどの場合、フィリピン人妻の名義で運営されており、軌道に乗ったら経営権を取られてしまった、などという話が絶えない。

マニラのカラオケ店(Photo:©Alt Invest Com)

●人材派遣会社
 これから日本への人材派遣が本格化するに違いないが、外国資本は25%まで認められている。しかし海外への人材派遣にはフィリピン海外雇用庁POEA(Philippine Oversea Employment Administration)のライセンスが必要で、これが容易には取得できない。

●土地の保有
 外国人は土地を所有することはできないが、外国株式の保有比率が40%以下の会社であれば土地が買える。こうして住宅用の土地を保有するため「60:40」の会社設立が行われたが、大手の会社ならいざ知らず、個人では会社の維持に多大な手間と費用がかかり本末転倒といえる。

●教育機関
 今ブームとなっている英会話学校などには40%まで参画できる。ただし、労働雇用省の技術教育技能教育庁TESDA(Technical Education and Skills Development Authority)のライセンスおよび入管からの特別就学許可証SSP(Special Study Permit) 発行のライセンスなどが必要で、その取得がなかなか容易ではない。

●コンドミニアムの保有
 コンドミニアムは全体のユニット数の40%まで外国人個人が保有することができ、これで「60:40」の制限を満たしているものとみなされる。