タイ
2016年6月7日 沼舘幹夫

海外移住希望者必読!
日本人がタイで死んだらどうなるの?【前編】

6万人以上の日本人が暮らし、年間120万人以上の日本人旅行者が訪れる国「タイ」。そこで人生の最期を迎える日本人も年間100人弱いるという。バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部が、タイで日本人が死亡した場合に起こる様々なできごとを取材した。老後をタイで暮らしたいと考える人にとっても重要な問題だ。

 タイで突然、死を迎えることになったらどうなるのだろう……。不意に気になった。『DACO』読者にメールで問いかけてみると、反応は早かった。

「銀行の残高は没収されてしまうのでは」「財産の譲渡は滞りなくなされるのか」「身寄りがないので孤独に朽ち果ててしまうのか」「土曜日に解剖されると日曜日は野ざらしで放置されるらしい」「タイで死ぬと必ず解剖される」。こういった疑問や不安を抱えていた方がたくさんいた。

 それらは死そのものに対する恐れではなく、「タイで死んで大丈夫なのか」というものだった。

 ちゃんと死なせてくれるのか。この不安感は在留邦人が、サバイサバ~イ(快適さ、居心地の良さの意味)を最優先するタイ人と付き合っているうちに自然と身につけてしまった疑い深さかもしれない。死んだ後のことまで不安の種として抱えてしまう日本人を笑えない自分もいた。

 もちろん、これから「老後をタイで暮らしたい」と考えている人にとっても最大の関心事だろう。

 在タイ日本国大使館領事部邦人援護担当が関わった日本人の死者数は2009年73名、2010年83名、2011年92名、2012年86名、2013年115名、2014年101名、2015年101名。その9割近くが男性で年齢的には 55~65歳が多く、心疾患が約3割、脳疾患が約1割、がんが約1割など病気による死亡が半分を占める。

 2014年の在留届ベースで6万4285人の日本人が暮らすタイ。しかも同年の旅行者や出張者を含めた日本人の入国数は 126万5307人という。在留届を出していない人を含め、今この瞬間、タイにいる日本人の数はいったいどのぐらいになるのだろう。

 増え続ける在タイ日本人。今後、タイでの日本人の死はありふれたものになってゆくに違いない。

病院外での死亡はすべて司法解剖される

 タイの場合、「病院や自宅で医師の診断のもと、死亡と判断された場合」と「密室での死亡など事件性が少しでも認められる場合」で遺体の扱いが大きく異なる。前者は病院内での死亡として主に病院が死後の手続きを補助する。後者は病院外での死亡として警察が登場し、法律で司法解剖が定められている。よって司法解剖にあたっては遺族の承諾は必要とされない。

海に散骨する際に使われる船の舳先に付けられた線香と花【撮影/『DACO』編集部】