海外移住希望者必読!
日本人がタイで死んだらどうなるの?【前編】
病院内で死亡した場合の流れ
1. 病院が遺族や勤め先の会社に連絡
1) 病理解剖を希望するか遺族に確認。旅行者やひとりでタイで暮らしている場合などは、入院時に提示が求められるパスポート等から、大使経由で遺族に連絡される。
2)病院スタッフがその病院の所在地を管轄する区役所で、死亡が確認された時間から 24時間以内に「死亡登録証明書(タイ語でモラナバット)」の申請を行なう。この死亡登録証明書がないと遺体を移動させたり、遺体を日本へ搬送することはもちろん、タイで火葬することもできない。
2. 死亡登録証明書申請時に必要な書類と決定すべき内容
1)必要書類:病院発行の死亡証明書または解剖医による解剖所見、パスポート。
2)内容:遺体を日本に搬送するか(遺体搬送を希望する場合の費用は海外旅行保険使用によるか? 勤務先会社が負担するか? 自費か? 葬儀会社へ依頼するか など)、タイ国で火葬する場合、執り行う寺院名も記載。

3.在タイ日本国大使館への報告
病院のサポートのもと、在タイ日本国大使館(以降「大使館」)へ遺族の連絡先を伝える。区役所から死亡登録証明書の発行を受けたらFAXで報告する。その後、死亡登録証明書の和訳文(手数料:無料)を大使館で作成してもらうこともできる。
大使館では死亡登録証明書の和訳文作成以外に、遺骨を飛行機の手荷物として日本へ持ち帰る際、出国時のトラブルを防ぐための遺骨証明書(手数料:2016年度は1通につき700バーツ=約2150円)も発行する。詳細は領事部邦人援護班が必要に応じてアドバイスしてくれる。
4.防腐処理
遺体へホルマリンの注入を希望するかどうかを遺族に確認。注入は病院の専門スタッフが行なう。
5.死に化粧
病院の専門スタッフが行なう。
病院外で死亡した場合の流れ
病院外で亡くなった場合は、いかなる原因でも警察署への通報が必要。タイの法律により、病院外で亡くなった場合、外国人を含むすべての遺体を警察病院か国立病院で司法解剖に出さなければならない。アパートでの孤独死、交通事故などの事故死の場合も司法解剖が行なわれる。
●病院に「亡くなった」と連絡があった場合
1) 死亡が明らかな場合は、警察署へ通報するように遺族もしくは関係者に伝える(亡くなっているかはっきりしない場合は救急車で医師が現場に駆け、死亡を確認後、同様に通報するよう伝える)。
2)タイの法律により警察の取り調べの後、警察病院、チュラロンコーン大学病院などの司法解剖の機関に連絡される。
3)解剖医が遺体を確認し、検査機関に運ぶ。
4)遺族は解剖終了後に検査機関から出される司法解剖証明書を区役所に提出し、死亡登録証明書を受け取る。
5)防腐処理、死に化粧は病院、または遺族が指定する葬儀屋で行なわれる。
●救急車での搬送中に亡くなった場合
1)搬送中に救命処置を行ない、病院内でも処置を行なった場合は、「病院内で死亡」と同様の対応が行なわれる。
2)搬送中に死亡が確認され、病院に到着する前に救命処理を取りやめた場合は、亡くなった場所もしくはその場にて、警察署へ通報し「病院外での死亡」の扱いに準じる。遺族が「搬送中に死亡が認められたが、明らかに心疾患で死んだから解剖はお断り」と主張することはできない。警察で司法解剖となる。