タイ
2016年7月13日 沼舘幹夫

海外移住希望者必読!
日本人がタイで死んだらどうなるの?【後編】

大使館に聞いてみました!

『DACO』編集部に寄せられた「タイでの死」に関する質問の一部をタイの日本大使館領事部邦人援護担当に聞いてみた。『日本人がタイで死んだらどうなるの?【前編】』と合わせて読んでもらえると、より詳細がわかるはず。

Q:
 自分が死んだ場合、タイ人同様お寺で荼毘に付してもらい、チャオプラヤーに散骨してほしいと思っています。バンコクの友人らに、万一の場合はそのようにしてほしいと頼んではいるのですが、日本の親族に来タイしてもらい、日本大使館に死亡届を提出してからでないとタイのお寺で荼毘に付してもらうことは出来ないのでしょうか。

A:
 まず第一にタイの役場へ死亡事実を届け、死亡登録証明書を取得する必要があります。この死亡登録証明書がなければ、タイにおいて火(埋)葬することも日本へ遺体(骨)を搬送することもできません(『日本人がタイで死んだらどうなるの?【前編】』参照)。死亡登録証明書の取得は親族、友人(役場でタイ語でのやりとりができるタイ語能力のある方)、タイの葬儀社でも可能です。

 また、実際には、管轄する役場によって死亡登録証明書の取得にあたって必要書類等が異なることがあります。たとえば、バンコクのある区役所では、外国人が亡くなった場合には大使館発行の領事レターが必要だと言われる場合があります。死亡登録証明書の取得にあたって具体的に何が必要か、それぞれ届出先のタイの役場に確認してください。

 タイの役場への死亡届とは別に、日本の戸籍上の手続(除籍)として、日本の役場にも死亡届を提出する義務があります。死亡届は死亡の事実を知った日から3カ月以内に大使館もしくは、直接死亡者の本籍地の市区町村に提出してください。詳細は大使館までお問い合わせください。

Q:
 バンコクの日本人の友人が、親族の代わりに大使館宛てに死亡届を提出することが可能でしょうか?

A:
 日本の戸籍法上、死亡届を提出する者の順位は、①同居の親族、②同居していない親族、③そのほかの同居者、④家主、地主又は家屋もしくは土地の管理人と規定されております。特別な事情等により友人が死亡届を提出される場合には個別に大使館にご相談ください。そのほか、死亡届の手続きについては大使館までお問い合わせください。

Q:
 遺体を火葬する場合には遺族の同意がなければできないと聞いています。大使館が遺族に代わって遺体の取り扱い方法を決めることはあるのでしょうか。遺族から大使館への委任状も必要と聞きましたが、その内容について教えてください。日本語でよいのですか。

A:
 タイの法律上、遺体の取り扱いは遺族の意向に沿って手続きを進めるのが原則です。大使館が遺体の取り扱いを判断することはありません。

 なお、日本の遺族が様々な事情でタイに渡航することができず、友人などの支援者もタイにいないため、死亡登録証明書の届出や遺体の取り扱いをタイの葬儀社にすべて任せるケースがあります。この場合にもタイの役場等は、日本の遺族の意向に沿った形で遺体の取り扱い等の手続きを進めているかを確認するため、大使館からの領事レターの提出を求めることがあります。

 大使館は、日本の遺族から、大使館に対して死亡登録証明書届出や遺体の取り扱いに関する手続等を委任する委任状に基づいて、領事レターを作成します。大使館への委任状は日本語で差し支えありません。

Q:
 死亡が確認されてから24時間以内に届出することになっているタイの死亡登録証明書について、24時間以内に遺族が「遺体の取り扱い」を決めなけばならないわけですが、身寄りの判明しない遺体の場合、または24時間以内に遺族に連絡がつかなかった場合はどうなるのでしょうか。

A:
 一般的に身寄りが判明しない遺体の場合には身寄りが判明するまでの間、警察病院などで遺体が保管されることが多いようです。日本人と思われる死亡事案においてはタイ警察、病院等から大使館宛に通報があり、大使館としても身元の確認をし、日本にいる遺族への連絡等の支援を行なっております。

 24時間以内に死亡登録の届出をしない場合には、行政罰として1000バーツ(約2890円)以下の罰金が課せられます。しかし、実際には死亡登録証明書の取得を頼まれた葬儀社が、葬儀代の中から支払っていることが多いようです。また、役場によっては、24時間以内に死亡登録の届出ができなかった場合でも、状況に応じて罰金をとらないケースがあるようです。

まだまだ知りたい!「タイでの死」にまつわるあれこれ

●安楽死は適用される?

 タイでも日本同様、積極的な安楽死は殺害行為を医師に強いるものとして法的に認められていない。私立病院で治療費が払えなければ国立病院へ転院させられ、そこで治療が続く。遺書は死んでからの財産分与についてのみ有効であるため、 安楽死の望みは叶えられない。植物状態になっても延命措置がとられる。あくまでこれが原則だ。

●僧のお経の内容って?

 お葬式で僧が唱えているお経はタイ語ではない。「何かを見たとき、聞いたとき、匂いを感じたとき、食べたときに幸せはある」「人生は五感、感情、記憶、思考、知識で形成される」「すべての人に別れは来る」そしてモラルが備わっている人の20の傾向や経典が編纂されたときに新しく生まれた考え、ものごとを分析して真実を求めるために質問をすること、徳の必要性を細かく説明……上座部仏教経典に即した以上の内容をパーリ語で唱えている。

●お葬式の変わったタブーは?

 タイでは妊婦は葬式に参列すべきではないと言う人もいる。胎児に霊が憑くことを心配するからだ。昔から葬式は無理してでも出席すべきものとされていたため、胎児と母親に負担のかかる遠出をさせないための方便ともいえる。

  一方、妊婦は服に安全ピンやピンバッジなどとがったものを服につけていれば霊は寄り付かないという対処法も存在する。葬式への出席も欠席も霊をダシにするので親戚と不仲になる種とならない。生活の知恵と言っていいだろう。

葬式や火葬に遅れるのは良くないが、30分以上も前に堂に入るのも良くないとされる。遺族に気を使わせてしまうからで、理想は数分前に堂に到着すること。早く着いたら近くでブラブラしていればいい。

 葬式では糸状のお菓子を出してはいけない。長細いものは死とつながるとされて忌み嫌われる。

 葬式では「スワイ(美しい)」という言葉は禁句。など。

(文・撮影/『DACO』編集部)

『DACO』とは?:バンコクで月2回発行される無料の情報誌。発行人の沼舘幹夫編集長は25年近く前に日本の通信社からニュースを仕入れ、在タイ日本人に伝えるために駐在員として来タイした。