高齢者の新しい住まいの在り方として「サービス付き高齢者向け住宅」が普及し始めている。だがそのメリットや特徴はまだ浸透しているとは言い難い。その魅力を紹介する。

住宅に近い感覚で暮らせるため
親にも勧めやすい

高齢者住まいアドバイザー協会
代表理事 満田将太
(公認会計士・税理士)

  サービス付き高齢者向け住宅」(以下、サ高住)には、共通して以下のような要素がある。居室面積は25平方メートル以上(浴室やキッチンが共用の場合は18平方メートル以上)、バリアフリー構造で、居室内にキッチンや水洗トイレの施設がある。また、必ず提供しなければならないサービスとして「安否確認」と「生活相談」がある。入居できるのは原則として60歳以上、プライバシーが守られ、自立的な生活が送れる住宅という特徴がある。

  「有料老人ホームと何が違うのかとよく聞かれるのですが、大きな違いは前者が高齢者向けの“居住施設”であるのに対して、サ高住は“賃貸住宅”であることです。前者は利用権契約が主で、入居前払金が必要なケースが多いのですが、サ高住は主に一般的な賃貸借契約です。また介護保険サービスについても、有料老人ホーム(介護付き)は施設事業者と契約しますが、サ高住は介護サービス事業者を個別に選んで契約します。限りなく自宅に近い感覚で暮らせるのです」

 そう説明するのは高齢者住まいアドバイザー協会の満田将太代表理事である。

 サ高住は、まだまだ元気でありながら、いざというときに適切な対応やサービスを受けたい、というニーズを持つ高齢者が選ぶケースが多い。ひと言で言えば、“施設っぽくない”のが特徴なのだ。

 「私が相談を受けた中で、地方の戸建てで一人暮らしのお母さまがいるお子さんが、離れた所の独居は不安なので、首都圏に住む自分の近くに呼び寄せたい、という案件がありました。希望は、施設のような雰囲気ではなく、家事などを継続できる高齢者住宅。予算は全ての生活費を合わせて月額20万円以内、初期費用は100万円未満程度というものでした」

 結果的に、その母親は居室に風呂とキッチンがあり、他の入居者も元気な人が多いところが気に入って、子どもの自宅から近い「サ高住」に入居したという。核家族が多いだけに、今後はこのようなケースが増えるのではないか、と満田代表理事は予測している。

 では、サ高住を選ぶときのポイントはどこにあるのだろうか。

 「サ高住では、安否確認と生活相談以外は、住宅ごとに提供するサービスが違うので、入居を決める前の事前チェックが不可欠となります。例えば、食事サービスはあるのか? 介護事業所やデイケアセンターが併設されていて、介護サービスを受けやすいのか? 24時間対応サービスはあるのか? 認知症患者への対応はどうなっているのか?などなど。また入居時に必要なくても、後に必要となる場合があるので、提供可能なサービスの内容を把握することも大切です」と、満田代表理事はアドバイスする。

 サ高住と一口に言っても内容はさまざま。それぞれのコンセプトと入居者の優先順位のマッチングが重要なのだ。