どんな素材やシルエットの衣服も新品同様によみがえらせる――ハッピーが提供するケア・メンテ®のサービスは、着だおれと心づかいの伝統を背景に生まれた新技術だ。京都から発信される新ビジネスが今、注目されている。

友禅流しに想を得た
無重力バランス洗浄技法®

 ファストファッション隆盛の一方で、上質な衣服を長く着るライフスタイルがあらためて注目されている。服装は着る人の個性を端的に表す。だからこそ、着るものを大切にしたいと考える人が少なくないのである。

無重力バランス洗浄技法は、鴨川の流れにさらして仕上げる京友禅の技法にヒントを得て開発。複雑な水流を組み合わせて擬似無重力状態をつくり出し、界面活性剤の力で汚れを取り去ることで、生地へのダメージを抑える。

 起毛のウールやしっとりしたシルクなど、着心地のよい衣類ほど手入れが難しいとされる。風合いはもとより、シルエットを保つことはなおさらだ。このため、着たくても購入をあきらめてしまうこともあるのではないか。

 そんな悩みを解消するのが、ハッピーが提供するケア・メンテ®のサービスだ。繊維に対するダメージは少ないが汚れの除去に不満が残るドライクリーニングと、汚れはしっかり落とせるものの繊維へのダメージが大きい水洗い、双方の利点を備えた水油系・アクアドライ®を中心とした、衣類の総合メンテナンスなのだ。

 同社の橋本英夫代表取締役は、友禅流しからケア・メンテのコア技術である無重力バランス洗浄技法®の想を得たという。「シルク100%の京友禅は、染め終わった後に鴨川の流れにさらします。機械的な力を加えず、流れに任せて洗うため、生地にダメージを与えることはありません。同様の洗浄技法を開発すれば、衣類をいためることなく洗浄できると考えたわけです」と、橋本氏はふり返る。その結果、複雑な水流を組み合わせて擬似無重力状態をつくり、界面活性剤の力で汚れを取る技法を開発した。さらに、シミ汚れや黄ばみ、色やけなどから衣服を再生するリプロン®などを施す。これら一連の工程で、あらゆる生地や縫製の衣類を、素材感やシルエットさえも新品同様の状態にまでよみがえらせるのである。