医薬品、医療機器、バイオテクノロジーを中心とした医療サービスを提供しているバクスターは、腎不全患者向けの透析療法である腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)分野の世界的なマーケットリーダーだ。同社の執行役員/透析製品事業部長・土本匡明氏に話を聞いた。

腎不全の透析療法には
血液透析と腹膜透析がある

バクスター株式会社
執行役員/透析製品事業部長
土本匡明(つちもと・まさあき)氏

 腎臓には血液中の老廃物を濾過して排出する機能や、体内の水分バランスを保つなど重要な働きがある。この機能が低下すると、老廃物を尿として排出できなくなり、ナトリウムなどが体内に溜まる「腎不全」を引き起こす。

 「腎不全が進行すると、血液中の老廃物や水分を取り除く『人工透析』が必要になります」(土本氏)

 透析療法は血液透析と腹膜透析に大別されるが、一般的に知られているのは血液透析で、これは通常、週3回程度通院し、毎回4~5時間かけて透析を行う療法である。

 一方、「腹膜透析は、自分の体内の腹膜を利用して血液をきれいにする透析療法です。在宅で行うことができ、通院は月に1回~2回程度ですみます」(土本氏)

 腹膜透析には、昼間に数回、透析バッグを交換する方法や、寝ている間に器械を使って自動的に行う方法もある。その特徴としては、自宅や職場で透析を行うことができるほか、残っている腎機能を長く保ち、食事制限も比較的緩やかであることなどが挙げられる。