今日では幅広い業種、多様な規模の日本企業が、グローバル市場でのビジネスを志向し、それに向けた取り組みが加速している状況だ。そうした中で重要なテーマとなるのが、グローバル規模での経営管理にかかわるガバナンスを、いかに担保していくかという問題だ。そこでは統一化されたシステムの各拠点への適用や、業務プロセス、各種経営指標の標準化などが不可欠である。そうした取り組みの実践において、企業が直面する課題や、その解消に向けたアプローチについて、コンサルティングファームとして多くの国内企業のグローバル展開を支援してきたクニエの勝俣利光氏と日本オラクルの桐生卓氏が語り合った。

ビジネススピードの加速に追随し得る
経営管理基盤の俊敏な展開が肝要

――早くから生産拠点を海外に設置してきた大手製造業のみならず、幅広い業種、多様な規模の日本企業において、今まさにビジネスのグローバル展開が加速している状況です。そうした中、企業はどのような課題に直面しているのでしょうか。

株式会社クニエ
Executive Vice President
事業全体統括責任者
勝俣 利光 氏

数十年にわたり、数多くのコンサルティングを実践。1995年KPMGコンサルティングのスターティングメンバーとして、日本法人の立ち上げに参画、2002年KPMGコンサルティングマネージングディレクター就任、ERP部門及びSCM部門を統括。2004年べリングポイント(現PwCコンサルティング)執行役員に就任。ハイテク、機械、CPRD、通信、サービスのインダストリーリーダーを歴任、2006年べリングポイントVP常務執行役員に就任。製造、流通、サービス事業全体を統括、2009年新会社発足のためQUNIE入社、SVPに就任、コンサルティング部門統括責任者。2012年 EVPに就任、事業全体統括責任者。

勝俣:各国に拠点を置いてビジネスを推進していくうえで、最重要のテーマの1つとなるのが、グローバルな規模での経営管理にかかわるガバナンスをいかに担保していくかという問題です。

 経営指標や統一すべきデータなどの基準をきちんと策定することが特に重要です。また、経理規定や指標のもととなる基準を本社主導で統一していく事も重要です。各拠点から集められた情報の粒度や定義が異なっていたのでは、グローバルでの経営管理を適正に実践することは到底望めません。

 そうした観点では、連結経営情報管理システムや、ERP(Enterprise Resources Planning)などの統一化されたシステムを各拠点に適用し、業務プロセスや各種経営指標、およびその定義や算出方法などを強制的に標準化していくことが理想的な手段となります。

 これについては、日本の本社側がしかるべきガバナンスを利かせて、本社のコントロールのもとに各拠点へのシステム展開を進めていくのが理想です。ただ、特に昨今のように海外展開のスピードが加速し、拠点が従来のように日、米、欧の3極だけではなく、中国など東アジアやASEAN、あるいはその他の地域にも広がる中で、あくまでも本社側のコントロールで、限られた人的リソースによって取り組みを進めていこうとすると、時間がかかりすぎてしまいます。当然、今求められているビジネススピードに追随していくことができなくなります。

 これに対し最近では、地域ごとに業務プロセスの標準化やサブ連結、SCMの可視化をスピーディーに実現し、極ごとに同時並行で導入していくアプローチも採用されるようになってきています。

桐生:やはり経営指標などの基準をきちんと策定することが鍵ですね。そこは、やはりクニエさんのような経営管理やSCM領域両方に豊富な知見を持ったコンサルティングファームの支援を仰ぐことも重要でしょう。

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