改正酒税法の施行による価格上昇などで、頭打ちとなっているビール販売。しかし、そのトレンドに逆行して好調な販売を持続しているのが、2017年9月にフルリニューアルしたキリンの「新・一番搾り」だ。ビアジャーナリストの藤原ヒロユキさんに好調の理由を聞いた。

2017年9月にフルリニューアルで登場した「新・一番搾り」

ビール市場の逆風の中、
「新・一番搾り」は好調な販売を記録

 主要5メーカーによる2017年のビールの課税出荷量は前年比マイナス2.9%で、2年連続のマイナスとなった(「ビール酒造組合 平成29年度第四半期発表分」)

 ところが、そんなダウントレンドの中で好調に販売を伸ばしているビールがある。昨年9月にフルリニューアルしたキリンの「新・一番搾り」だ。

「新・一番搾り」の缶容器は、リニューアルして市場に投入された昨年9月から12月までの4ヵ月間計で、前年同期比プラス13%の販売量を記録している。

人気の理由は味!
ビアジャーナリストが分析

藤原ヒロユキ
1958年生まれ。ビアジャーナリスト、イラストレーター。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。著書に「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)など

「ひと口飲んでみて、これなら売れて当然だと納得しました。『一番搾り』ならではの麦芽本来のうまみが、リニューアル前よりもさらに際立っているからです」と語るのは、ビアジャーナリストの藤原ヒロユキさんである。

 世界中のさまざまなビールを飲んできた藤原さんだが、「日本のビールの中では、『一番搾り』は常に注目している銘柄ですね」と話す。

「麦芽を100%使用し、もろみから自然に流れ出る一番搾り麦汁だけでビールを作っているのは『一番搾り』だけ。麦のうまみが楽しめる点をとても気に入っています」

 フルリニューアル後の「新・一番搾り」が好調な一因は、味の進化にあると藤原さんは語る。

「以前に比べて麦の味わいがますます研ぎ澄まされたように感じました。今まで『一番搾り』を飲んでいた人たちも、『何かが違う』『ますますおいしくなっているぞ』と実感したのではないでしょうか」

※タイトルの「前年比約113%」は、缶容器の販売量。