日本公認会計士協会会長
関根愛子(せきね・あいこ)

1981年早稲田大学理工学部卒業後、外資系銀行を経て公認会計士登録。2006~16年、あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)パートナー。07年日本公認会計士協会常務理事、10年同副会長、16年7月から現職。

今年7月、公認会計士制度が70周年を迎える。グローバル化や情報化の進展により、企業と公認会計士を取り巻く環境が大きく変化する中、日本公認会計士協会はどのような取り組みをするのか。関根愛子会長に聞いた。

──日本の公認会計士制度がスタートして今年で70周年を迎えるそうですが、日本公認会計士協会の活動内容を教えて下さい。

関根 公認会計士は、監査と会計の専門家として、企業などが作成した決算書類の監査のほか、税理士登録することにより、税務に関する業務や、経営全般にわたる相談・助言を行うコンサルティング業務など、企業経営にも密接に関わっています。

 日本公認会計士協会は、公認会計士がそれらの任務を全うするために、公認会計士法に基づいて指導や監督などを行うほか、公認会計士の登録などの業務を行うわが国で唯一の団体です。公認会計士と監査法人は、当協会の会員となることが義務付けられています。

──時代の変化を見据えた上で、公認会計士の新たな役割・使命をどのように考えますか。

関根 公認会計士が従来から担っている業務や役割については、変わらず果たしていく一方で、監査と会計の専門家として、経済・社会構造の変化、社会からの期待の変化に適応していくことが重要だと考えています。

 例えば、企業が透明性を向上させるには、株主や利用者に正確な情報を分かりやすい言葉で伝えることが必要です。そうした点において公認会計士が担う役割は、大きく変化し、多様化していると感じています。

 また、昨今話題のESG(環境、社会、ガバナンス)投資の分野では、非財務情報が重要なファクターとなっています。当協会でも、非財務情報の開示の在り方や、財務情報と非財務情報を統合した企業報告などについて検討を進めています。

 さらに、情報の信頼性確保を担う公認会計士は、過去の情報が中心となっている財務情報だけではなく、将来的な予測や経営的視点を含んだ情報を取り扱っていくことにも取り組む必要があると考えています。