日本パレットレンタルでは矢継ぎ早に新サービスを投入。ITを本格活用しパレットを軸とした物流管理体制を構築、物流の効率化やコスト削減の極大化を目指す。パレット活用はまったく新しいステージに入った。

パレットに荷物を載せ、パレット差し込み口にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込んで持ち上げる。JPRではフォークリフトの爪に装着するリーダーも提供する

パレットで荷役作業の機動性と効率性を向上

日本パレットレンタル
加納尚美
代表取締役社長

「パレット」とは物流現場で使われる荷物を載せるための荷役台。フォークリフトなどでパレットごとモノを大量に運べるため、物流の負担軽減に直接的に役立つ役割を担っている。

 戦後日本の物流草創期の政策決定に携わった平原直氏が提唱したのが、「11型(1100㎜×100㎜)パレット」だ。これが後にJISに認定される。その着想は、米進駐軍がパレットとフォークリフトを使って荷役作業を機動的に展開していた姿にあった。

 現在、日本でのパレットの流通量は推定3億~5億枚といわれている。そのほとんどが自社所有で運用されるのが一般的だ。ここに来て、運用効率の観点から、自社運用からレンタルパレットの利用へ切り替える企業も増えている。さらに、これまで手積み手降ろしが主流だった軽量物も、人手不足の影響でパレット輸送を始めている。日本パレットレンタル(JPR)は、1971年の設立時から、レンタル方式で11型パレットを普及・促進してきた。

 80年代後期にスタートした加工食品メーカーによるJPRのパレット活用は、日用品業界などの他業界でも活用が広がり、現在、JPRレンタルパレットの保有枚数は約964万枚、年間出荷枚数は約4200万枚を数える。レンタルパレットで納品し、納品後のパレット回収はJPRに任せる。この効率的な運用は、労働環境の改善を迫られる今、物流業界で再び脚光を浴びている。

 JPRの加納尚美社長は、「現在、当社は、加工食品業界と日用品業界で320社とお取引いただき、その納品先など全国1700拠点を結ぶネットワークを構築しています」と語る。

 レンタルパレットを利用するメリットは荷役作業では、①手荷役に比べて4分の1になる積み降ろし時間の短縮、②車両待機時間の削減、③積み替え作業がなくなり物流品質を維持できる、などの点にある。

 また業務管理の面では、前述の通り「パレットの回収作業がいらない(回収はJPRに任せられる)」という点が大きい。企業が輸送に自社パレットを使うと、輸送先の倉庫などで紛失することも少なくない。管理や回収に手間もコストもかかるのだという。これがレンタルパレットであれば輸送先の倉庫での「乗り捨て」が可能になる。

 その他にも、レンタル料を利用企業で公平に分担でき、季節波動による必要数量の変動も柔軟に調整できコストも低減できる、といったメリットがある。

「商品が軽いが故にパレット活用を見送ってきた分野でも、人手不足を背景にパレットへの切り替えが加速しています」。